もはや一国でモノづくりは不可能、ZTE措置が突きつける現実:製品分解で探るアジアの新トレンド(28)(4/4 ページ)
米国がZTEに対し、向こう7年間にわたり米国企業の製品を使えないという厳しい措置を決断した。その影響は既に出始めている。
“局所的”な問題では、もはやない
先ほど、「間接的影響」という言葉を使った。QualcommやSkyworksのチップがZTEに売れなくなった場合、そのメーカーに関与の大きい、日本の部品、素材、材料、機器、装置メーカーにも余波が及ぶだろうことは間違いない。
日本の多くのメーカーが、Qualcommとも、Skyworksともさまざまな面でつながっているからだ。
ZTEのスマートフォンの内部は図4のように比率こそ米国が圧倒的だが、欧州、韓国、中国、日本など全世界にサプライチェーンを持った上で成り立っている。中国の1企業のみの流れが止まるという、局所的な問題ではもはやないわけだ。製品を入手できなくなる懸念もあるために、弊社は大慌てでZTEのスマートフォンなどを複数台購入した。世界のトッププレーヤーの1つが止まることなど、本来であれば、あってはならない。われわれなりに本件の深堀りをさらに続けていきたいと思っている。
なおZTEは、自社でもLTEプロセッサをはじめ多くの半導体を持っている(いずれもミドルレンジ製品で、ハイエンドチップは取り組んでいない)。それ故、今回の米国の措置が、中国内でQualcommの代用品を作れるようになるための大きな原動力となる可能性はある。数社ある中国のパワーアンプメーカーが立ち上がり、米国勢なしでも、パワーアンプを全領域において賄えるようになることも考えられる。ただし、そうなるまでには、かなりの時間がかかるだろう。
いずれにせよ、今回のZTE制裁と、ZTEのスマートフォンの中身は、もはや一国ではモノが作れないという、エレクトロニクス業界の現実を、痛切に突きつけてくる。
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