電装品のテストを自動化したマツダ、工数は最大90%減に:NIWeek 2018(2/2 ページ)
National Instruments(NI)は、2018年5月21〜24日にかけてユーザー向け年次イベント「NIWeek」を米国テキサス州オースチンで開催中だ。ユーザー事例の紹介ではマツダが登壇し、NIの計測プラットフォームを利用したテストシステムで、1個のECUの評価にかかる工数を最大90%削減したと話した。
テスターにも“ロードマップ”を
同氏はNIのプラットフォームを選んだ理由について、柔軟性とエコシステムを挙げた。NIのソリューションのみでは実現できないところ、足りないところは、NIのアライアンスパートナーに協力を依頼して、機能を補うことができる。例えば今回のテストシステムの開発には、NIのパートナーで、電子計測器や試験器の専門商社であるマックシステムズが協力した。マックシステムズは、システム構成の立案やハードウェアの選定、ソフトウェアの開発などを担当したという。
日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は、マツダが、テストシステムのロードマップを作成したことも鍵だと述べる。「テスターを“製品”のように扱って、自社内で開発して、メンテナンスして、アップグレードしていることが、成功の要因ではないかとみている。しっかりしたロードマップをテスターについても作っているので、この先、生まれてくるであろう課題にも対応できるのではないか」(日本NI)。電装品の進化は今後も加速すると予想されるが、素早くテスト環境を構築することができれば、そうした進化にも十分対応できるようになるだろう。
実はマツダは、自社で構築したこれらのテストシステムを、サプライヤーにも提供する場合があるという。同じ規模のテストシステムではなく、サプライヤーが手掛ける電装品に合わせて、テスト機能を限定した中規模、小規模のテストシステムとして、使ってもらうのだ。自動車メーカーとサプライヤーが同じテストシステムを使うことで、評価結果の照合がしやすい、データの整合性を取りやすいといった利点が生まれる。つまり、自社で構築したテストシステムを中核とした“テスターのエコシステム”を作り上げようとしているのである。
テストシステムを社内で標準化
Honeywell Aerospaceは、航空機のテストのシステムを、NIのプラットフォームを使うことで標準化した。同社は世界中に数千にも上るテスト施設を所有している。Honeywell AerospaceのチーフエンジニアであるMark Keith氏は、「テスト施設によっては、使用しているデジタルマルチメーターですら異なることがある。テストプラットフォームを全社で標準化して、生産性を上げる必要があると感じた」と語った。同社は、「柔軟性が高いから」という理由で選んだNIのPXI計測器をベースに、テストプラットフォームの標準化を進め、現時点で、テスト全体にかかるコストを約40%削減することに成功したという。
NXP Semiconductorsは、5G(第5世代移動通信)の要素技術の1つとされるMassive MIMO(大規模MIMO)向けフロントエンドモジュールのテストに、PXIベースの半導体テストシステム「NI STS」を用いたことを紹介。それによって、テストのスループットが従来比で2倍に向上したと語った。
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