オンセミの車載事業、センサーとパワーの強みを生かす:自動運転レベル5対応を目指す(2/3 ページ)
ON Semiconductorは、オートモーティブ事業のさらなる拡大を目指す。成長の新たな推進力となるのが、センサーソリューションやワイドバンドギャップ半導体である。
費用対効果の高いADASセンサーフュージョンを提供
同社は、車載センシング事業に関連して、企業買収を含め積極的な投資を行ってきた。2014年にイメージセンサーメーカーのAptina Imaging(アプティナ)とTruesense Imaging(トゥルーセンス)を買収した。現在、車載向けCMOSイメージセンサーの市場において、同社は50%と過半数のシェアを確保しているという。サラウンドビューシステムを除くADAS(先進運転支援システム)向けビューイングシステムでは、シェア70%と圧倒的な強みを発揮する。
次世代の車載用CMOSイメージセンサープラットフォーム「Hayabusa」も2017年10月に発表した。解像度が1Mから5Mピクセルまでの4ファミリー製品を用意する計画である。その第1弾として、解像度が2.6Mピクセルの新製品を投入した。Hayabusaファミリー製品は、LEDフリッカー抑制(LFM)と120dBというハイダイナミックレンジ(HDR)を同時に達成した製品となる。もちろん、センサーが不具合を発見した場合、システム側のプロセッサに警告を発するISO26262準拠のリアルタイム機能安全に対応している。
2017年3月には、IBMハイファ研究所で開発した車載レーダー用ミリ波技術と関連資産を買収した。さらに2018年5月、LiDAR(ライダー)センシング製品などを開発するSensL Technologiesを買収した。一連の買収により、自動運転車向けの包括的なセンサーソリューションを実現するための技術や製品を手に入れた。
2018年末までには検出距離が300mとロングレンジ対応のミリ波レーダー製品を市場に投入する予定だ。その後、100m程度のショートレンジ対応の製品も用意する。さらに2020年を目標に、センサープロセッシングユニットやCMOSベースのRF ICを製品化する計画である。
SensL Technologiesは、シリコン光電子倍増素子(SiPM:Silicon Photomultipliers)やシングルフォトンアバランシェダイオード(SPAD:Single Photon Avalanche Diode)および、LiDARセンシング製品を手掛けてきた。2018年末には3D ToF(Time of Flight)センサーのサンプル出荷を始める予定である。
最終的なゴールとしてWilliams氏は、「イメージセンサー、レーダー、ライダーと3種類のセンサーを組み合わせた、費用対効果の高いADASセンサーフュージョンシステムを提供したい。しかも、自動運転レベル4およびレベル5を実現できるソリューションを目指していく」と話す。
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