オンセミの車載事業、センサーとパワーの強みを生かす:自動運転レベル5対応を目指す(3/3 ページ)
ON Semiconductorは、オートモーティブ事業のさらなる拡大を目指す。成長の新たな推進力となるのが、センサーソリューションやワイドバンドギャップ半導体である。
ワイドバンドギャップ半導体、投資を加速
パワー半導体は、EVやPHEV(プラグインハイブリッド自動車)向けに、電源ICやインテリジェントパワーモジュール、IGBT、パワーMOSFETなど幅広い製品を用意している。さらに今回、ワイドバンドギャップ半導体も新たに発表した。EV/PHEVにおけるトラクションインバーターや、オンボードチャージャ、DC-DCコンバーターなどの用途を想定している。
第1弾として発表したのは、耐圧が1200Vと同650VのSiCダイオード製品である。AEC-Q101に準拠した製品で、ゼロ逆回復や低い順方向電圧、高いサージ耐圧といった特長がある。今後、SiC-MOSFETやGaNパワー半導体なども順次製品化する予定である。
ワイドバンドギャップ半導体事業では、先行するメーカーがあり、同社はどちらかといえば後発となる。そこで、開発や生産設備への投資を加速して、先行する競合メーカーを早期にキャッチアップする計画だ。
Williams氏は、「SiCパワー半導体は、韓国富川市の工場で生産する。SiCウエハーの結晶成長から自社で行い、コスト競争力を高めていく。GaNパワー半導体は、eモード(ノーマリオフ)動作の製品を開発しており、ベルギーの工場で量産する計画だ。SiCと同様にウエハーの結晶成長から社内で行う」と話した。
オートモーティブ事業の拡大に向けては、自動車メーカーとの連携を強化している。その1つが、AudiのPSCP(Progressive Semiconductor Program)に基づき、同社と戦略提携を結んだ。安全で利便性に優れ、環境に優しい近未来の自動運転車やEVを実現するための課題解決に取り組み、具現化するための半導体ソリューションを開発、提供する。
これ以外の自動車メーカーに対しても、OEMビジネスデベロップメントグループが、ハイレベルの長期的な要求を直接ヒアリングしている。その上で、ソリューションエンジニアリングセンター(SEC)がシステムレベルの要求を理解し、デバイスレベルに落とし込み、顧客の要求に応えているという。日本市場でも、こうした体制を整えて事業拡大に取り組んでいる。
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