自動車の潮流が変わる今だから、TEジャパンのこだわり:エレメーカーが展望する車の未来(2/3 ページ)
コネクターなど電子部品大手であるTE Connectivity日本法人のTEジャパン。同社社長の上野康之氏に、将来の自動車に求められるエレクトロニクス技術や、それを支えるサプライヤーのあるべき姿を聞いた。
全産業をカバーするメーカーだからこそ発揮できる強み
EETJ この状況を勝ち抜くことができる、TEジャパンの強みはどこでしょうか。
上野氏 TEは、エレクトロニクスの全産業領域をカバーしている。他産業では、エンドユーザーと直接コンタクトを取ることでスペックインを獲得しているが、自動車産業でも顧客と向き合う姿勢は同じだ。OEMやTier1と深くコミュニケーションを図ることで、顧客ニーズをいち早くキャッチアップできる。
また、他産業で培ってきた技術を車載製品に転用し、さらなる付加価値の創出に取り組んでいる。例えば、1Gビット/秒(bps)伝送に対応する車載用ネットワークが普及を始めているが、IT分野では既に一般的な伝送速度であり、TEはネットワーク関連部品の長い開発経験を有している。このように、既に他産業で普及している技術をベースとして、耐熱や耐振動、耐障害性などの面を車載グレードに改良することで、顧客の要求に合致した信頼性の高い製品を提供する。
EETJ 付加価値創出に関連したトピックとして、2018年5月には光通信を用いた10Gbps車載ネットワークの技術開発を発表されました(関連記事:TEジャパンとアダマンド並木が協業、車載10Gbpsの実現へ)。
上野氏 光通信車載ネットワークの歴史は長く、さまざまな規格も登場しているが、現在広く採用されているとはいえない。電気通信と比較して光通信は、高速伝送、軽量、拡張性、EMC対策と多くの面で優位にあるが、耐障害性の面で採用を見送っているOEMは多いだろう。
しかし、自動運転が進展するにつれて車載ネットワークのトラフィックは急増し、将来的には高いスループットのネットワークが求められる。高速伝送に対応する光通信が、あらためて車載ネットワークの有力な選択肢となる。
自動車は、振動や温度変化、荷重印加などが発生する光通信にとって厳しい環境だが、われわれはMOST(Media Oriented Systems Transport)など既存の光通信車載ネットワーク製品の開発で、長年にわたる技術蓄積がある。10Gbps車載ネットワーク技術についてもOEMに安心して採用してもらえるよう、われわれの技術を結集して開発を進めているところだ。
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