自動車の潮流が変わる今だから、TEジャパンのこだわり:エレメーカーが展望する車の未来(3/3 ページ)
コネクターなど電子部品大手であるTE Connectivity日本法人のTEジャパン。同社社長の上野康之氏に、将来の自動車に求められるエレクトロニクス技術や、それを支えるサプライヤーのあるべき姿を聞いた。
売上高を1.5倍に成長させる
EETJ 車載事業に関して、今後の目標を教えてください。
上野氏 具体的な数値目標について言及することはできないが、2021〜2022年ごろにおける車載関連事業売上高を、現在の1.5倍に成長させることを目指している。
EETJ この目標を達成するため、戦略はどのように設定されていますか。
上野氏 TEは特にコネクターに強みを持つメーカーだが、センシングとコネクティビティの2テーマがこれから注力する領域となる。われわれはコネクター市場である程度のシェアを獲得しているが、センサー市場ではまだシェアを伸ばす余地がある。センシング領域は今後一層の成長が予測される市場であるので、ここにビジネスの機会があるとみている。
TEはもともと位置センサーに強みを持っている。このセンサー事業を強化するため、企業買収を積極的に行っており、今では湿度センサーや圧力センサーなどさまざまなセンサーが他社と比較しても競争力がある製品となった。車載用途で考えられるほとんどのセンサーをTEで提供できる体制を整えた。
また、高電圧高電流化が進む電動車だが、万が一の事故に備えたパワートレインの安全確保がより一層求められている。TEではリレーと1パッケージにしたコネクターなど、電動車のセーフティに貢献する製品ラインアップを拡充し、コネクティビティ領域でもさらなる成長を狙う。
今こそモノづくりにこだわりを
EETJ 「CASE」が進む自働車産業においても、TEジャパンは付加価値創出を軸に成長を継続するということですね。
上野氏 そうだ。しかしそれだけでなく、“モノづくり”の原点を大事にしていきたい。
「自動車業界は100年に一度の変革期」とされるが、トヨタ自動車も彼らの一番の強みであるトヨタ生産方式を前面に押し出して、立ち向かおうとしている。トヨタ生産方式は、必要なものを・必要なときに・必要なだけ、いかに原価を安く生産できるか、といったモノづくりの本流だ。また、この考えはモノづくりだけでなく、ビジネスプロセスにも当てはまる。
この考えはTEジャパンにも浸透しており、われわれはトヨタ自動車から直接教えを受けてきた。自動車業界が必要としてきたビジネスの根幹となる考えを、今後も大事にしていきたい。
「CASE」が進行し、自動車に関わるビジネスモデルやサービスモデルが変化しようとも、車を作るということが簡単になるわけではない。モノづくりは経験と技術に基づき高品質な製品を作り上げるというマインドが重要であり、TEジャパンは失敗もしながら自動車業界と共に製品を開発し、信頼関係を醸成してきた。このように、モノづくりにこだわりを持つメーカーであり続けることが、今後の車載事業でも成長の柱になると考えている。
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