光変調器の試作例(電界吸収(EA)変調器)とまとめ(後編):福田昭のデバイス通信(154) imecが語る最新のシリコンフォトニクス技術(14)(1/2 ページ)
電界吸収変調器(EA変調器)を試作して測定した、静特性と動特性の結果を解説する。さらに、EA変調器の他、マッハツェンダ変調器(MZ変調器)とリング変調器のベンチマーク結果をまとめる。そこから分かることは何だろうか。
電界吸収変調器(EA変調器)の静特性
今回は前後編の後編である。前編を覚えておられない方や未読の方は、あらかじめ前編を読まれてから、本編をお読みすることを強くおすすめする。
後編では、電界吸収変調器(EA(Electro-Absorption)変調器)を試作してその性能を測定した結果を説明する。そしてまとめとして、これまでに試作された3種類の光変調器の性能を示す。
電界吸収変調器(EA変調器)を試作して特性した結果には、静特性と動特性がある。始めは静特性の測定結果を説明しよう。
静特性としては、消光比(Extinction Ratio)、挿入損失(Insertion Loss)、送信器ペナルティ(Transmitter Penalty)を測定した。消光比(ER)は高いことが、挿入損失(IL)が低いことが、送信器ペナルティ(TP)は低いことが望ましい。またERとTPは、駆動電圧の振幅(ピークツーピーク電圧)によって変化する。
消光比は光ビームの波長である1550nm付近で最大となり、良好な結果を得ている。挿入損失は波長が短くなると急激に増大する。1580nmの光波長では約3dBであった挿入損失は、1550nmになると約6.5dBに増加している。消光比と挿入損失の比率を性能指数(FOM)とすると、FOMは1560nm〜1570nmの波長範囲で最大となる。
駆動電圧の振幅(ピークツーピーク電圧)が2Vのときに、送信器ペナルティは約30nmの波長範囲で1dBの変化にとどまった。
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