設備の非稼働要因を見える化、村田の生産性最大化策:社内で10年以上の利用実績(2/2 ページ)
村田製作所は、工場内に設置された設備の非稼働要因を「見える化」し、生産性を最大化するためのソリューション「m-FLIP(エム・フリップ)」などを、「プラントメンテナンスショー」で紹介した。
BLEメッシュネットで「モノの見える化」
注目を集めていたもう1つの展示は、BLE(Bluetooth Low Energy)の電波を利用した屋内測位システム「OWLiQ tracking(オウリック・トラッキング)」である。モノの位置を「見える化」することで、無駄を削減することができるという。
同システムは外形寸法が42.2×25.8×5.95mmの小型発信器(BLEタグ)、USB電源で動作するBLE受信機および、専用のゲートウェイで構成する。さらに、位置情報の算出には自社の屋内測位向けクラウドシステム「SyCloud(サイクラウド)」を活用する。
測位エリアに設置する複数のBLE受信機は、エリア内にあるBLEタグの信号強度を検知し、BLEメッシュネットワークを介してその情報をゲートウェイに転送する。さらにゲートウェイがSyCloudにデータを送信して、BLEタグの位置情報を算出。このデータをユーザーのシステムに送信し、ディスプレイなどでBLEタグの位置を確認することができる。
村田製作所では、工場内での部材や工具の管理、作業員の導線分析などを行うことによる「無駄の削減」を想定している。「受信機の設置が簡単で、レイアウト変更にも柔軟に対応できる。BLEタグは1秒間隔で信号を発信した場合、内蔵のコイン電池で最長8年間動作する。システムコストも安価で済みBLEメッシュネットワークを容易に構築できる」(説明員)と話す。
同社工場内に受信機50台を設置、工場内を移動する作業用台車230台に発信器を装着し、このシステムを検証した。この結果、部材や工具を搭載した台車を探すのに、従来は3〜10分要していたが、同システムを導入したことで平均約1.5分に短縮できたという。また、作業者の導線を分析し工場内の作業工程を最適化したことで、年間700人時間の工数削減を達成できたという。
展示ブース内では、4人の説明員がBLEタグを身に付け、5台の受信機でBLEタグの信号強度を検知。その情報を基にSyCloudで位置情報を算出し、説明員のいる場所をディスプレイに表示するデモを行った。
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