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HDD大手Western Digitalが通年決算で過去最高の売上高を記録福田昭のストレージ通信(111)

Western Digitalの2018年度6月期における業績を振り返ってみたい。

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毎年6月を決算月とするWestern Digitalの会計年度

 ハードディスク装置(HDD)の大手ベンダーである米Western Digitalは、7月から始まり、6月を決算月とする期間を会計年度に採用している。この7月26日に同社は、2018年度6月期、すなわち2018会計年度の第4四半期業績と通年業績を発表した。

 2018会計年度第4四半期(2018年4月〜6月期)の売上高は前年同期比6%増の51億1700万ドル、営業利益は同1%増の12億7700万ドル(Non-GAAPベース)である。粗利益率は41.0%、売上高営業利益率は25%とかなり良好だ。

 2018会計年度通年(2018年6月期)の売上高は前年比8%増の206億4700万ドルで、過去最高の売り上げを記録した。営業利益は同2%増の54億1500万ドル(Non-GAAPベース)である。粗利益率は42.5%、売上高営業利益率は26%と年間を通じても、かなり高い利益率を確保できた。

 Western DigitalはHDDの大手ベンダーであるとともに、SSD(Solid State Drive)のベンダーであり、NANDフラッシュメモリ応用製品(USBメモリやSDカードなど)のベンダーでもある。HDDはクラウド向けに12Tバイトの大容量ヘリウム封止品が順調である。SSDではクライアント向けのNVMeインタフェース品の出荷を始めたことが、良好な業績に寄与した。


2018会計年度第4四半期(2018年4月〜6月期)と2018会計年度通年(2018年6月期)の業績(Non-GAAPベース)。出典:Western Digital(クリックで拡大)

四半期業績ではデータセンター向けの売り上げが2桁成長

 ここからは2018年4月〜6月期(2018会計年度第4四半期)の四半期業績について説明していこう。Western Digitalは、売り上げを3つの部門に分けて公表している。その3つとは、「クライアント用デバイス(Client Devices)」「クライアント用ソリューション(Client Solutions)」「データセンター用デバイス・ソリューション(Data Center Devices and Solutions)」である。

 クライアント用デバイス部門には、ノートPC用HDD、デスクトップPC用HDD、コンシューマーエレクトロニクス用HDD、クライアント用SSD、組み込み用製品などが含まれる。売上高は前年同期比2.7%増の24億7400万ドルである。


クライアント用デバイス(Client Devices)部門の製品群と概況。製品ブランドにはWestern Digital(WD)とSanDiskがある。SanDiskはWDが2016年に買収したフラッシュメモリ応用製品ベンダー。出典:Western Digital(クリックで拡大)

 クライアント用ソリューション部門には、映像業務用HDD、映像業務用SSD、バックアップ用HDD、USBメモリ、SDカードなどが含まれる。売上高は前年同期比1.8%増の10億3100万ドルとほぼ横ばいである。


クライアント用ソリューション(Client Solutions)部門の製品群と概況。製品ブランドにはSanDiskとWestern Digital(WD)のほか、映像業務用製品のブランドG-Technologyがある。出典:Western Digital(クリックで拡大)

 データセンター用デバイス・ソリューション部門には、エンタープライズ用HDD、エンタープライズ用SSD、データセンター用ソフトウェア、データセンター用ソリューションなどが含まれる。売上高は前年同期比13.6%増の16億1200万ドルで、2桁の伸びを記録した。


データセンター用デバイス・ソリューション(Data Center Devices and Solutions)部門の製品群と概況。製品ブランドにはWDとHGSTがある。HGSTは、WDが2012年に買収したHDDベンダー。出典:Western Digital(クリックで拡大)

今後の成長はエンタープライズ用途に期待がかかる

 再び通年ベースの売り上げに戻る。2018会計年度通年の売上高は8%成長したと述べた。その内訳は、クライアント用デバイス部門が6%成長の101億800万ドル、クライアント用ソリューション部門が10%成長の44億6400万ドル、データセンター用デバイス・ソリューション部門が10%成長の60億7500万ドルとなっている。

 売上高で最も多くを占めるクライアント用デバイス部門は、PC向け市場が減速している影響を受けて成長率が鈍化した。売上高が2番目に位置するデータセンター用デバイス・ソリューション部門が、ビッグデータやクラウドといったエンタープライズ需要が強く、今後も成長をけん引すると期待されている。


2017会計年度(2017年6月期)と2018会計年度(2018年6月期)の部門別売上高。出典:Western Digital(クリックで拡大)

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