HDD大手Seagateの通年決算、営業利益が前年比55%増と大幅な伸び:福田昭のストレージ通信(112)
今回は、“唯一のHDD専業ベンダー”と呼べるSeagate Technologyについて、2018会計年度の第4四半期および通年業績を解説する。
唯一のHDD専業ベンダーと呼べるSeagate
ハードディスク装置(HDD)業界では良く知られていることだが、HDD市場は3社のベンダーによって寡占化している。3社とは、Western Digital(以下はWDと表記)、Seagate Technology(以下はSeagateと表記)、東芝である。各社のシェアは四半期ごとに細かな変動はあるものの、おおよそ、WDが4割、Seagateが4割、東芝が2割だとされている。
3社の中でWDと東芝は、SSDをはじめとするNANDフラッシュメモリ応用製品を数多く扱っている。HDD専業とは呼べない。HDD専業に近いのは、Seagateだけだ。
そのSeagateはこの7月30日に、2018会計年度の第4四半期業績と通年業績を発表した。SeagateはWDと同様に、会計年度に7月から始まり、6月を決算月とする期間を採用している。このため、第4四半期が4月〜6月期となる。
2018会計年度第4四半期(2018年4月〜6月期)の売上高は前年同期比18%増の28億3500万ドル。営業利益は5億500万ドル(GAAPベース)で前年同期の約2.6倍に達した。粗利益率は31.9%、売上高営業利益率は17.8%と良好な水準にある。
2018会計年度通年(2018年6月期)の売上高は前年比3.8%増の111億8400万ドルである。営業利益は同55.0%増の16億3400万ドル(GAAPベース)と大きく伸びた。粗利益率は30.1%、売上高営業利益率は14.6%(いずれもGAAPベース)となり、年間を通じても、一定水準の利益を確保できた。
エンタープライズ用HDDの1台当たり容量が5.3Tバイトに拡大
2018会計年度第4四半期(2018年4月〜6月期)の売上高をもう少し詳しく見ていこう。製品分野別の売上高はHDDと、その他(SSD(Solid State Drive)といったフラッシュメモリ応用製品やソリューションなど)に分かれている。HDD製品の売上高は26億5200万ドルで、売上高全体の93%を占める。残りの7%がSSDなどの売り上げである。
HDDの売上高をチャンネル別にみると、OEMが72%で大半を占める。残りはディストリビュータが17%、リテールが11%となる。
SeagateはHDDの売り上げに関する付帯情報を公表している。例えば応用分野別に見た、HDD1台当たりの平均記憶容量である。2018会計年度第4四半期(2018年4月〜6月期)は、エンタープライズ用HDDの平均容量が5.3Tバイトであり、前年同期(2017年4月〜6月期)の3.4Tバイトから大幅に増えている。クライアント用に比べると利益率の高いエンタープライズ用が大容量品にシフトしていることが、通年の売上高が微増であるにもかかわらず、営業利益が5割強も増加したことを示唆しているように感じる。
またエンタープライズ用HDDの平均容量は、2年前の2016会計年度第4四半期(2016年4月〜6月期)は3.2Tバイトであり、2016会計年度から2017年会計年度にかけてはあまり増加していない。2018会計年度から、記憶容量が急激に拡大している。
なお、2018会計年度第4四半期(2018年4月〜6月期)におけるクライアントPC用HDDの平均容量は1.2Tバイトで、前年同期の1.0Tバイトからわずかな拡大にとどまった。
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