Samsung、ファウンドリー事業で業界第2位となる見通し:EUV専用ラインは2019年末に完成
Samsung Electronics(サムスン電子)は、ファウンドリー事業で2018年度に100億米ドルを上回る売上高を見込む。これが達成できれば業界シェアで第2位のファウンドリー企業となる。
EUVリソグラフィの専用ラインは2019年末に完成
Samsung Electronics(サムスン電子)は2018年9月4日、ファウンドリー事業で2018年度に100億米ドル超の売上高を見込んでいることを明らかにした。この売上高を達成すると、ファウンドリー業界では専業メーカーのGLOBALFOUNDRIESやUMCを抜き、TSMCに次ぐ第2位のシェアを獲得することになる。
Samsung Electronicsは、東京都内でフォーラム「SAMSUNG FOUNDRY FORUM(SFF) 2018 JAPAN」を開催した。これに先立ち同社は記者説明会を開いた。日本サムスンの常務取締役COOを務めるChangsu Lee氏やSamsung Foundryのバイスプレジデントを務めるRyan Lee氏らがファウンドリー事業の戦略や同フォーラムで紹介する先端プロセス技術、エコシステムなどについて説明した。
Samsung Electronicsは長年、ファウンドリー事業を手掛けている。今後の事業拡大が見込めることから新たに事業部門を設け、2017年より本格的な取り組みを始めた。既にCMOSイメージセンサーや指紋センサー、ディスプレイ用ドライバーICなどを受託生産している。現在は、パワー半導体やMEMSといった製品も企画中だという。同フォーラムは2回目の開催となるが、日本の半導体メーカーやエコシステムパートナーなど、約300人が参加した。
2017年度の事業規模など詳細は明らかにしなかったが、「2018年はファウンドリー業界が予測する7%成長を上回りたい。この結果、ファウンドリー事業における2018年の売上高は100億米ドル以上を見込んでいる。この中にはシステムLSI事業の売上高も含まれる」(Ryan Lee氏)と話す。
また、7nmノード以降の先端プロセスにおいて、極端紫外線(EUV:Extreme Ultraviolet)リソグラフィ技術を全面的に採用する方針である。2019年にはEUVリソグラフィを用いた7nmノードのFinFETを量産。2020年には3nmノードのGAA(Gate All Around)トランジスタを開発する計画だという。
EUVリソグラフィへの移行に向けて生産体制も拡充し強化する。既に韓国・華城(Hwaseong)工場のS3ラインにEUVリソグラフィ装置を導入しているが、新たにEUVリソグラフィの専用ラインも同工場内に建設中である。専用ラインは2019年末に完成し、2020年より量産を始める予定だ。
EUVリソグラフィプロセスを用いた7nmノード以降のデバイス用途について同社は、「基本的にモバイル機器がターゲットとなる。これに加えて、HPCや車載機器、ネットワーク機器などに搭載されるLSIを想定している」と話す。
この他、「FOPLP-PoP」「I-Cube(2.5D)」「3D SiP」といったパッケージソリューションや、最適化された設計プロセスを提供するエコシステムプログラム「SAFE(Samsung Advanced Foundry Ecosystem)」、1チップに集積可能なセキュリティソリューションなどを紹介した。
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