確度0.03%で最大7入力に対応するパワーアナライザー:各種インバーター開発向け
横河計測は2018年9月20日、電力基本確度0.03%を達成し、最大7入力に対応するプレシジョンパワーアナライザー「WT5000」を2018年10月11日に発売すると発表した。電気自動車(EV)や再生可能エネルギー関連機器などインバーター搭載機器開発用途に向ける。
横河計測、従来機種と同等価格ながら性能/機能を大幅アップ
横河計測は2018年9月20日、電力基本確度0.03%を達成し、最大7入力に対応するプレシジョンパワーアナライザー「WT5000」を2018年10月11日に発売すると発表した。電気自動車(EV)や再生可能エネルギー関連機器などインバーター搭載機器開発用途に向ける。
横河電機は、これまでプレシジョンパワーアナライザーとして電力基本確度0.04%の「WT3000E」などを展開してきたが、10月に発売するWT5000は最も性能の高いフラッグシップ機種として位置付ける。電力基本確度の他、これまで最大4入力だった1台当たりの入力数を7入力まで拡張。「2つのモーター/発電機を搭載するEVなどの開発現場などからの『同時測定ポイント数を増やしてほしい』という要求に応えた」(横河計測)。なお、WT5000は、4台まで接続、同期でき、最大28入力の測定が行えるようになっている。
モジュラー形式の入力部を実現
さらに「この性能クラスでのプレシジョンパワーアナライザーとしては、おそらく他にはない」(横河計測)というWT5000の大きな特長が、モジュラー形式の入力部を採用した点だ。これまでのWT3000Eなどでは、ユーザーが入力部を変更できない固定式だったが、WT5000は入力モジュール(入力エレメント)を差し替えることで、ユーザー自身で入力構成を変更できる。入力モジュールは、定格入力30Aタイプ、定格入力5Aタイプの2種を用意。また両タイプともに、電圧出力型の電流センサーやプローブを接続できる外部電流センサー入力を標準で備える。
入力部をモジュラー形式にしたことにより、導入時は少ない入力数に抑えて、複数の入力数が必要になった場合に、モジュールを追加購入して増設する、といったコストを抑えた導入が可能になる。入力部のモジュラー化は「どのスロットにモジュールを挿入しても、同一の温度補償を行う必要があり、固定式に比べ測定確度を高めることが格段に難しく、これまでは実現が難しかった」(横河計測)とする。
これまでは分解能16ビット、サンプリングレート200kサンプル/秒だったAD変換部の性能を、18ビット、10Mサンプル/秒に高めた。SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)を用いた高周波で動作する次世代スイッチング素子を用いたインバーターの波形も正確にデジタル化できるようになったとする。
さらにフィルター機能も大幅に強化。A-D変換前のアンチエリアシングフィルターの他、A-D変換後の処理系統を2つ持ち、1つの入力信号に対し、2種類のフィルター処理を実施できるようになった。
インホイールモーターなどに対応する4モーター評価オプションも
オプション機能として、最大4つのモーターのトルクと回転数を同時測定できるモーター評価機能も用意。「自動車開発現場では、インホイールモーターや四輪駆動車開発時に4つのモーターを同時に測定したいという要望があり、オプション機能という形で対応した」(横河計測)
この他、大型のタッチパネル機能付き10.1型 WXGA液晶画面を採用し、直感的な操作が可能なユーザーインタフェースを実現している。
価格は、本体が75万円で、入力モジュールは各40万円(いずれも税別)。「7入力、モーター評価機能付きオプション付きのほぼフル構成の場合で390万円。従来のWT3000Eでのフル構成時よりも大きく価格を抑えた。高性能、多機能でありながら、価格は手ごろであり、WT3000Eなどの従来機種からの置き換えも狙っていきたい」とし、国内外で2018年度300台、2019年度1200台の販売を目指す。
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