特集
「iPhone XS」を分解、Qualcommのモデムは見当たらず:バッテリーはL字型の1セルに(2/2 ページ)
Appleが2018年9月に発表した最新機種「iPhone XS」「iPhone XS Max」。これらの“中身”について考察してみよう。
「iPhone XS」のメインボード
以下は、TechInsightsが掲載した、iPhone XS Maxのメインボードの写真だ。
TechInsightsは、A12 Bionicを取り外している。指紋認証から顔認証に移行したということは、Analog DevicesとNXP Semiconductorsが、指紋認証関連のチップについてデザインウィンを失ったということを意味している。代わりに、(iPhone Xから既にそうだが)赤外線レーザーを照射する「VCSEL(ビクセル)照射器」という部品を提供するFinisarが、デザインウィンを獲得したサプライヤーの1社となった。
iFixitは、いつものようにメインボードに搭載された部品を特定している。iFixitは、ここでの注目は、Appleブランドの新たなパワーマネジメントICを搭載していることだと指摘している。
iPhone XSのメインボードに搭載されているチップは、以下の通りだ。
- 赤色:AppleのA12 Bionic。その下には、Micron TechnologyのSDRAMが搭載されている
- オレンジ色:STMicroelectronicsのパワーマネジメントIC(顔認証に使用か?)「STB601A0」
- 黄色:Appleのオーディオコーデック「338S00411」
- 緑色:AppleのパワーマネジメントIC「338S00383-A0」
- 青色:AppleのシステムマネジメントIC「338S00375」
- ピンク:TIのバッテリーチャージャー用チップ「SN2600B1」
下の画像は、iPhone XS Maxのメインボード裏面の画像である。iPhone XS Maxのメインボード表面については、iPhone XSとほぼ同じである。
- 赤色:東芝のフラッシュストレージ(「TSB3243V85691CHNA1」と刻印)
- オレンジ色:Appleのオーディオコーデック「338S00248」
- 黄色:Cypress SemiconductorのUSB PD(Power Delivery) IC
- 緑色:NXP Semiconductorsのディスプレイポートマルチプレクサ
- 水色:Texas Instruments(TI)のバッテリーDCコンバーター「61280」
【翻訳、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- iPhone 8の分解で垣間見た、Appleの執念
2017年9月に発売されたApple「iPhone 8」。iPhone 8の分解から見えたのは、半導体設計に対するAppleの執念だった。 - 「iPhone X」を分解
「iPhone」発売10周年を記念する最新機種「iPhone X」がついに発売された。iFixitが分解を完了しているので、メイン基板とサブ基板に搭載された部品を見てみたい。【訂正あり】 - AppleとQualcomm、法廷闘争に至るまでの経緯
AppleとQualcommの法廷闘争は長期化し、解決の時期を見通すことが難しい状況になっている。両社の係争は、なぜここまで泥沼化してしまったのか――。その背景には複雑な取引契約の背景があった。 - わずか0.1mm単位の攻防が生んだiPhone X
Appleが、「iPhone」誕生10周年を記念して発売した「iPhone X」。分解すると、半導体技術のすさまじい進化と、わずか0.1mmオーダーで設計の“せめぎ合い”があったことが伺える。まさに、モバイル機器がけん引した“半導体の10年の進化”を体現するようなスマートフォンだったのだ――。 - 「XPERIA XZ2 Premium」にみる、スマートフォンの主戦場“カメラ周り”最新動向
2基のカメラを搭載する「デュアルカメラ・スマートフォン」が当たり前になりつつある。今回は、ソニーとして初めてデュアルカメラを搭載したスマートフォン「XPERIA XZ2 Premium」の内部を観察していく。 - Intel、最上位FPGA「Stratix 10」の搭載カードを発表
Intelは2018年9月25日(米国時間)、同社製FPGA「Stratix 10 SX」を搭載したプログラマブルアクセラレーションカード(PAC)を発表した。既に発表済みとなるミッドレンジFPGA「Arria 10」搭載版PACとともに、データセンターアプリケーション向けポートフォリオを拡充する。