従来材料に比べて磁心損失を30%以上も改善
日立金属は2018年10月、高周波特性に優れたソフトフェライトコア材料「ML27D」を開発、量産を始めると発表した。新材料を用いると、ネットワーク機器や車載機器、スマートフォンなどに搭載する電子部品の小型化や省エネ対応が可能になるという。
ML27DはMn-Zn系のフェライト材料で、300〜500kHz近傍の周波数領域で、低い損失特性を示す。独自の粉末配合技術と加工および、熱処理技術を用いて製造することにより、従来材料に比べて磁心損失は30%以上も改善できた。低温から高温まで、幅広い温度環境において低損失を達成できたことから、さまざまな利用環境で電源回路の電力消費と発熱量を抑制することが可能だという。
同社はこれまで、500k〜2MHz帯向けの「ML95S」、1M〜5MHz帯向けの「ML91S」といった高周波低損失ソフトフェライトコア材料を供給してきた。新たに、「ML27D」を追加したことで、GaN(窒化ガリウム)やSiC(炭化ケイ素)を用いたパワー半導体素子などを含め、幅広い用途に対応することが可能となった。
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