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インタビュー

「頼れない精神」が突き動かす、新生エイブリックの熱意SIIから独り立ち(3/3 ページ)

2018年1月から、「エイブリック」として営業を開始したアナログ半導体メーカーの旧エスアイアイ・セミコンダクタ。名称の変更が示すように、筆頭株主はセイコーインスツル(SII)から日本政策投資銀行(DBJ)へと変わっている。SIIから巣立ち、独立したアナログ半導体メーカーとして、エイブリックはどのように進んでいくのか。社長の石合信正氏に聞いた。

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“独り立ち”して変化したこととは?

EETJ SIIから独立し、新しい会社として1歩を踏み出したわけですが、SIIから離れたことで、どのような変化が生まれましたか。

石合氏 やはりマインドセットの変化が最も大きいのではないか。これまではSIIという頼れる場所があったわけだが、これからは頼れない。その「もう頼れない」、そして「頼らない」という覚悟からくる、自助自立に向けたパワーは大きい。

 あとは、投資や経営方針を含め、あらゆることを即断即決で自分たちで進めていけるようになった。これは、会社の中の一事業部のままだと難しい。

 さらに、メーカーとしてのハイライトが、より際立つようにもなった。例えば、CLEAN-Boostは、SIIの事業部だったころは眠っていた技術だった。だが、エイブリックとして独り立ちした時に、われわれらしい“とがった技術”はないのかと必死になって探し出し、「これはいける」と掘り起こした。アナログ半導体メーカーとしての技術や製品に、目が届きやすくなったことの現れだと考えている。

 このように、一つの会社として全てに目配りし、統制できるようになることで、グリップがきいてくるような感覚を受けている。われわれは会社の中の一事業部、“One of Them”ではなく、“One of One”という意識が芽生えている。

EETJ アナログ半導体市場は、年成長率約7%と好調な市場ですが、Texas Instruments(TI)、Linear Technologyを買収したAnalog Devicesなど、シェア上位に立つ強豪が存在します。それらのメーカーにはない、エイブリックならではの強さとは何でしょうか。

石合氏 例えば多品種少量生産や柔軟な納期の調整など、キメの細かい対応ができるということだ。製品ラインアップは多いほどよいとは考えていない。ラインアップの多さは、場合によってはプロダクトアウトの世界になり得る。これからのIoT時代では、B2B(Business to Business)の業界でも顧客が級数的に増えるので、ターゲット分野や顧客が競合他社と重複しないところも出てくる。われわれならではの強みで勝負できる分野は絶対にある。そのようなセグメントを狙いに行く、という、大手アナログメーカーとは逆の発想でやっていく。

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