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アトミックレイヤーエッチングとドライエッチング技術の未来展望湯之上隆のナノフォーカス(6) ドライエッチング技術のイノベーション史(6)(4/5 ページ)

ドライエッチング技術のイノベーション史をたどるシリーズの最終回は、アトミックレイヤーエッチング技術に焦点を当てる。さらに、今後の展望についても考察する。

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SACの問題

 ゲート電極とコンタクトホールのリークを無くすためには、なるべく保護膜のSiNを厚く成膜したい。ところが、SiNが厚過ぎると、コンタクトホールの底面積が小さくなり、コンタクト抵抗が増大するという問題が起きる。

 コンタクト抵抗増大を避けるには、コンタクトホールの底面積を大きくすることが有効であり、そのためにはゲート電極を保護するSiN膜を薄くしたい。ところが、薄くし過ぎると、ゲート電極とコンタクトホールの間でリークが起きやすくなる。

 要するに、コンタクト抵抗とリークはトレードオフの関係にあり、両者を同時に満足するのが困難である。しかし、トランジスタの高集積化のためには、なるべくトランジスタ間の距離を縮めたいという要求がある。

 この問題の解決には、なるべくSiN膜を削らないSiO2エッチング、つまり、SiNに対する選択比が高いSiO2エッチング技術が必要である。そして、この厄介な問題を、SiO2のALEが解決したのである。

SACに適用されたALE

 米Lam ResearchがSACプロセスにALEを適用したときの実験結果を図8に示す。


図8:SACにALEを用いた効果(クリックで拡大) 出典:Lam ResearchのWebサイト

 図8-1では、コンタクトホールを開口する際、ゲート電極の保護膜SiNが露出する横方向の面積を“Landing area”、保護膜が縦方向に削れる寸法を”Corner Loss“と定義している。

 図8-1の左図のように、Landing areaが大きい場合は、Corner Lossは小さくなるが、コンタクトホールの底面積が小さくなってしまう。一方、図8-1の右図のように、Landing areaが小さい場合は、コンタクトホールの底面積を大きくできるが、Corner Lossが大きくなってしまう。

 望ましくは、Landing areaもCorner Lossも小さくし、コンタクトホールの底面積を大きくしたいが、Landing areaとCorner Lossはトレードオフの関係にある。そのため、図8-2に示すように、Conventionalなドライエッチングでは、その解決が困難だった。

 ところが、ALEを用いた場合、Conventionalなエッチングに比べて、Landing areaもCorner Lossも同時に小さくできることが分かった。これは、ALEにより、SiNに対する高選択SiO2エッチングが可能になったことを意味している。

 その結果、同じデバイス構造なら、コンタクトホールの底面積を大きくすることができる。または、Conventionalなドライエッチングを用いる場合よりも、トランジスタ間を狭くし、集積度を増大することが可能になる。

 このLam Researchの技術は、先端ロジック半導体メーカーに使われた。

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