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魅力あるIoTエッジの開発アプローチに垣間見るプラットフォーム提供の在り方製品分解で探るアジアの新トレンド(33)(2/3 ページ)

今回は、スマートフォン用チップセットを流用したクラウド翻訳機「POCKETALK W」や、中国チップ群で面を形成するIoTエッジ開発キット「M5Stack」を解剖し、その開発アプローチから垣間見えるプラットフォーム提供の在り方を考える。

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「中国チップ」で面を構成するというアプローチ

 「中国チップはダメだ」という声や問い合わせを受けることも多い。しかし今やわれわれ日本人の生活の中にもこれまで紹介してきた以上に多くの製品に中国チップは組み込まれており、完全に切り離すことはできない状況になっている。

 ここで使われている中国チップは増幅やブリッジなど、限られた用途に使われるもので、特定の機能を持っているわけではない。これらチップに疑いを持つことは、良いことだとは思う。しかしチップを開封して観察すればそこに悪意のある機能など入る余地がないことは明確になる。せめてチップを観察してから、理解のできない回路があることを示すべきだろう……と思う。中国製チップを数百個、開封して観察してきたが、奇異なことを行わず、基本に忠実なチップが圧倒的に多い。この辺りは2019年各所でのセミナーで解説していきたいと思っている。

 図3は、IoTエッジとしてほぼオールインワンの機能を持つ「M5Stack」である。2018年2月から日本でも販売開始され、多くの応用に用いられている製品だ。当初からディスプレイなども有しており、ArduinoやRaspberry Piのようにボードから周辺機器を組み立てる必要がないものになっている。中国・深センのスタートアップ会社の製品である。


図3:センサー、通信機能を内蔵する「M5Stack」 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 図4は、M5Stackの内部のチップの様子である。ここでは詳細に触れないが、中国チップ群で構成されている。そこに9軸センサーなどのIoTエッジデバイスが接続される。これら中国チップは、他の用途でも非常に多くの実績のあるものばかり。M5Stackには多くのドキュメントもリリースされており入手も容易で、しかも読みやすいものとなっている。


図4:「M5Stack」に採用される中国チップ群 (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 日本では多くの購入経路がある上、価格も数千円と安価であり、遊びながらIoTを体験したり、作ったりするにはうってつけだろう。

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