ISSCC 2019の目玉はAIと5Gに、CPUの話題は少ない?:メモリ関連の論文も豊富(2/2 ページ)
2019年2月17〜21日に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催される半導体回路技術関連の国際学会「ISSCC 2019」は、発表内容のほとんどが、機械学習(マシンラーニング)や高速ネットワーク、メモリが主役となる“データ時代”に関するものとなりそうだ。
5GではIntelとSamsungが火花を散らす
高速ネットワークの分野では、SamsungとIntelがそれぞれ、5GとLTEの両方に対応するトランシーバーについて発表する予定だ。
Samsungは、14nmプロセスを適用した、面積が38.4mm2のチップについて詳細を明らかにする。2G/3G/LTEに対応し、スタンドアロン(SA)/ノンスタンドアロン(NSA)の5Gをサポート可能だという。14個のレシーバーと2つの伝送パスを使用して、最大で下り3.15Gビット/秒(bps)、上り1.27Gbpsの通信速度を実現する。
Samsungは関連論文の中で、6GHz帯以下を使う5Gネットワークに向けたモジュレーターについて発表するという。エンベロープトラッキング向けに100MHz帯域幅をサポートし、効率は88%を実現する。また、立ち上がり90ナノ秒/V、立ち下がり110ナノ秒/Vの能力を持つミリ波トランシーバー向けの電力管理ICについても説明する予定だ。
これらは、Samsungの5Gチップセット「Exynos Modem 5100」の一部で、6GHz未満とミリ波の両方のネットワークをサポートするという。同社はこのExynos Modem 5100を、ISSCCのデモイベントにおいて披露する予定だ。このことからも、Samsungが、5G市場のリーダーであるQualcommに対し、脅威的なライバルになることを目指していると分かる。
SamsungだけでなくIntelも、6GHz帯以下に対応するゼロIF(ZIF)と、ミリ波帯向けの10.556GHz IFに向けた、28nmプロセス適用の4G/5Gトランシーバーを発表する予定だ。MIMO向けにM-PHY HS-Gear3インタフェースを搭載し、キャリアアグリゲーションで最大800MHzの帯域幅をサポートする。これは、Intelが2018年11月初めに発表した、5Gチップセットの一部である。
有線ネットワークも、その勢いを拡大している。HuaweiとeSilicon、MediaTek、IBMは、7nmプロセス適用デバイスを発表する予定だ。最大データ転送速度が128Gbpsで、通常はPAM-4変調を使用する。このPAM-4変調については数年前、実用化が可能かどうかをめぐり、活発な討論が繰り広げられた。
東芝は、データ時代のストレージに対するニーズに対応すべく、4ビット/セル(QLC)技術を適用した、1.33Tビットの3D NANDフラッシュチップを披露する。96層積層プロセスを用いる。記録密度は8.5Gビット/mm2となっている。
そのライバルであるWestern Digitalは、128層を持つ512Gビットの3ビット/セルチップを発表する。メモリアレイの下に制御回路を配置し、書き込みスループットは132Mバイト/秒を実現する。
Samsungは、12Gビット/秒を提供可能な、512Gビットの3ビット/セルチップを披露する。ワード線/ビット線の設定時間を削減することにより、読み書き性能の向上を実現するという。
組み込みメモリ分野では、Intelが、同社の22nm FinFETプロセスを適用した最先端のReRAM/MRAM(磁気抵抗メモリ)のデモを披露する。
自動運転車向けのレーダーでは、MediaTekが、パッケージサイズが16×25mmの79GHz帯対応トランシーバーについて発表する。Intelは、同社の22nmプロセスを使った、71G〜76GHz帯対応の64素子フェーズドアレイトランシーバーについて説明する。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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