“余計なもの”って何? 「Mate 20 Pro」の疑惑を晴らす:製品分解で探るアジアの新トレンド(34)(1/3 ページ)
Huaweiの2018年におけるフラグシップ機「Mate 20 Pro」。この機種には、“余計なもの”が搭載されているとのうわさもある。本当にそうなのだろうか。いつものように分解し、徹底的に検証してみた。
“余計なもの”が搭載されている!?
弊社(テカナリエ)では、年間おおよそ30機種ほどのスマートフォンを分解している(実際にはカスタム解析依頼などに対応するために同じ機種を数台分解するので、台数はさらに多い)。
分解の前に若干使う場合もあるが、多くは買ったものをそのまま分解する。分解は、おおよそ1時間ほどで終わる。実際、分解するだけならば手慣れたもので、数分もあれば基板取り出しまでできてしまうのだが、分解の各工程を写真に撮りながら進めるので1時間程度かかるわけだ。2018年、最も時間をかけて丁寧に分解した機種が、今回報告する中国Huaweiの「Mate 20 Pro」であった。分解には、2時間ほどを費やした。
この記事は基本的に技術レポートなので、政治的な話にはあまり触れないつもりだが、このMate 20 Proは、米中貿易問題の中で最も話題になっている、Huaweiの2018年のフラグシップ製品でもある。政治的な背景とともに、ちまたで、まことしやかにささやかれているうわさも頭に入れながら、分解した。
そのうわさとは(ご存じの読者も多いかとは思うが)、中国製品には「余計なものが入っている」というものである。
弊社ではHuaweiのみならず、中国スマートフォンはOPPO、VIVO、Lenovo、Xiaomiなどの大手製品からほぼ無名メーカー製品まで、数多く分解、解析している。当然チップも、パッケージ外観だけで判断するのではなく、シリコンを取り出し、顕微鏡で観察し素性を明らかにしている。パッケージだけでは判断できないものは積極的にチップを開封して、シリコンで判断するのだ。
弊社の社員は、ほぼ全員が長年半導体メーカーで設計や解析に携わってきた。また1000種を超える半導体を日々観察しているので、複雑な形状の半導体の中身もほとんど読み取ることができると自負していている。チップ写真だけで判断できない場合には、基板を観察し配置関係やインタフェース端子からも機能を推定する。
3眼カメラの性能がすごい
図1は今回分解したHuawei Mate20 Proの梱包箱、外観、カメラ部の拡大である。前フラグシップ機の「P20 Pro」で採用した3眼カメラが、Mate 20 Proでも採用されている。基本構成は同じだが、配置と20M画素カメラの素性が変わっている。具体的にはモノクロカメラから広角カメラに機能が切り替わった。カメラ部はドイツ・Leica(ライカ)のレンズを用い、CMOSイメージセンサーはソニー製だ。日独の技術が使われている。
カメラ性能は、3眼の映像を組み合わせることで極めて高くなっている。AppleやSamsung Electronicsもカメラに力を入れているが、中国メーカーも純粋に技術を追い求め、新たな試みを続けている。
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