バッテリー機器対応の光学式回転・位置検出センサー:“中分解能”領域を狙う
新日本無線は2018年12月19日、バッテリー駆動機器でも動作する低消費電力性能を備えたデジタル2相出力タイプの反射型回転・位置検出用センサー「NJL5820R」を発表した。小型モーターのエンコーダー用途やカメラのフォーカスリングの回転検出用途などに向ける。
新日本無線は2018年12月19日、バッテリー駆動機器でも動作する低消費電力性能を備えたデジタル2相出力タイプの反射型回転・位置検出用センサー「NJL5820R」を発表した。2018年10月から量産を開始しており、価格は150円(参考価格)になっている。小型モーターのエンコーダー用途やカメラのフォーカスリングの回転検出用途などに向ける。
光学式の回転・位置検出用センサーは、高精度、高分解能を実現しやすいという特長からサーボモーターのエンコーダーなどで使用されるケースが多い。一方で「高精度、高分解能を追求するために回路規模が大きく、高価格であったり、消費電力が大きかったりし、バッテリー駆動機器に搭載されるような小型モーターでは、オーバースペックになっている」(新日本無線)という。低分解能の領域では、磁気式の回転・位置検出用センサーが使用されるが「分解能が足りなかったり、モーターであればモーターの磁界影響により設置の制約があったりという課題があった」(同)
磁気式と従来光学式の中間を狙いつつ、使いやすさ追求
今回、新日本無線が開発したNJL5820Rは、従来の光学式の回転・位置検出用センサーと、磁気式の回転・位置検出用センサーの中間を埋める“中分解能”領域をターゲットにした製品。光学式の検出方式を採用しながらも、必要最小限の機能に絞って搭載し、従来光学式回転・位置検出用センサーに比べ、5分の1程度の駆動電流(推奨駆動電流範囲2mA〜10mA)で駆動させることが可能。「バッテリー駆動する機器でも十分に使用できるセンサーになっている」という。
搭載機能を絞ったことで、低消費電力を実現したNJL5820Rだが、使いやすさを実現するため、回路の工夫を盛り込んだ。光学式回転・位置検出用センサーは、センサーと反射板(ストライプミラー)との距離を一定に保つことが求められる他、センサーと反射板の位置合わせを高い精度で行わなければならない。これに対し、NJL5820Rは、センサーと反射板の距離や位置が多少、変動しても、安定して回転・位置を検出できるように回路の工夫を実施。具体的には、反射板からの反射光を受光素子で検出し、発生した光電流を次段のコンパレーターの基準電圧にする回路を適用。距離変動に合わせて、検出基準を変更することにより、デューティーや位相差の変動がほとんどない。対応するセンサーと反射板の距離は、2mA駆動時で0.5〜1.5mm。±15度程度の傾き変動にも対応でき、高精度の位置合わせや固定を行う必要がない。
推奨反射板は、反射面幅0.25mm(反射率70%超)、非反射面幅0.25mm(反射率20%未満)で、分解能は50.8ライン/インチ(LPI)。パッケージサイズは、2.6×2.5×0.8mm。動作電圧範囲は2.8V〜5.5V、動作温度範囲は−30〜85℃になっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 日清紡HD、リコー電子デバイスを買収
リコーは2017年10月30日、子会社のリコー電子デバイスの発行済み株式の80%を日清紡ホールディングス(以下、日清紡HD)に譲渡すると発表した。 - 1回路なのに2チップ! 超豪華な音響用オペアンプ
新日本無線は2017年3月24日、高音質重視のオーディオ用1回路入りオペアンプ「MUSES03」を発売した。2チップ構成など音質劣化を防ぐ工夫を施している。 - 角度センサー、モーターの回転角を高精度に検出
パナソニックは、車載用モーター向けに小型で高精度の角度センサーを開発した。最高レベルの安全性を求められる「ASIL D」のシステムにも対応可能である。 - アバゴの小型反射型エンコーダ、絶対位置の検出で高精度制御が可能
アバゴ・テクノロジーが発売した反射型エンコーダ「AEDR-8500」は、小型であることに加え、3チャネルのデジタル出力に対応したことと、逓倍(ていばい)回路を搭載したことが特徴だ。 - エイブリック、新検知方式のホールICを開発
エイブリックは、ブラシレスDC(BLDC)モーター用途に向けて、新たな検知方式を採用した「ZCL(Zero Crossing Latch)ホールIC」を開発した。 - TDKミクロナス、ISO 26262対応ホールセンサーを拡充
TDKミクロナスは、回転角度や直線位置などを高い精度で検出できるデュアルダイのホールセンサー「HAR379x」を発表した。ISO 26262規格に対応しており、自動車や産業機器の用途に向ける。