エイブリック、新検知方式のホールICを開発:BLDCモーターの性能が安定
エイブリックは、ブラシレスDC(BLDC)モーター用途に向けて、新たな検知方式を採用した「ZCL(Zero Crossing Latch)ホールIC」を開発した。
BLDCモーターの設計や製造現場の負担を軽減
エイブリックは2018年10月、新たな検知方式を採用した「ZCL(Zero Crossing Latch)ホールIC」を開発したと発表した。ブラシレスDC(BLDC)モーター用途に向ける。
ホールICは、発生したホール電圧を検知して、磁界の存在やその向きを知ることができるデバイスである。単体で磁極の判別が可能であるため、車載機器や民生機器などにおいて、モーターの回転検出を始め、位置検出、開閉検出といった用途に用いられている。
磁界を検知する方式としてこれまで、N極またはS極のいずれか片方を検知する「片極検知」や、N極とS極を交互に検知する「交番検知」などが用いられている。ところが、例えば交番検知方式だと、S極とN極が切り替わるポイントを通過したときに信号を検知できないなど、課題もあった。
新製品は、片極検知や交番検知ではない、新開発の検知方式を採用した。ZCLと呼ぶこの技術は、ゼロミリテスラ(mT)に達した時点を検知して、信号を出力することができる。この結果、従来のホールICを採用したBLDCモーターに比べると、性能が安定し、品質も向上するという。さらに、BLDCモーターの設計時におけるさまざまな交差計算の負担や、製造工程におけるキャリブレーション作業の負荷を軽減することが可能となる。
パッケージは最大厚みがわずか0.2mmという、薄型製品も用意しており、BLDCモーターの薄型/小型化を可能にする。
同社は、「CEATEC JAPAN 2018」(2018年10月16〜19日、千葉・幕張メッセ)の自社ブースに、薄型ZCLホールICなどの製品群を展示する予定だ。
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