NVIDIAがTuring世代の「GeForce RTX 2060」を発表:レイトレーシング対応
NVIDIAは、同社の「Turing GPU」アーキテクチャをベースとした、初となるミドルレンジGPU「GeForce RTX 2060(以下、RTX 2060)」を発表した。PCゲーマー向けに、リアルタイムのレイトレーシンググラフィックスを、349米ドルという低価格のカードで提供可能だという。
NVIDIAは、同社の「Turing GPU」アーキテクチャをベースとした、初となるミドルレンジGPU「GeForce RTX 2060(以下、RTX 2060)」を発表した。PCゲーマー向けに、リアルタイムのレイトレーシンググラフィックスを、349米ドルという低価格のカードで提供可能だという。
NVIDIAのCEOであるJensen Huang氏は、2019年1月6日(米国時間)に開催された、「CES 2019」(2019年1月8〜11日、米国ネバダ州ラスベガス)の事前イベントでRTX 2060を発表した。
6GBのGDDR6メモリと240個のTensorコアを搭載し、52TFLOPSの演算能力を実現するという。同社は、「この演算能力に加え、DLSS(Deep Learning Super Sampling)として知られているNVIDIAの機能を用いることで、RTX 2060のゲーミング性能を向上させることが可能だ」と述べる。
また同社は、「RTX 2060は、当社製品の中で最も人気が高い旧世代GPU『GTX 1060』と比べて、現行タイトルで60%の高速化が可能だ」と主張している。
レイトレーシングは、コンピュータグラフィックスの代表的な標準とされているが、NVIDIAが2018年8月にTuringアーキテクチャを発表する以前は、リアルタイムのレイトレーシングの実現には至っていなかった。
だが、Turingアーキテクチャは、レイトレーシングエンジンを搭載するため、レイトレーシング処理性能に関しては、NVIDIAのPascal GPUと比べて6倍の高速化を実現可能だ。NVIDIAによると、Turingは、10 Giga Rays/sでリアルタイムのレイトレーシングを実現するという。
Huang氏は、「Turingは、1世代の間にGPU性能の大幅な向上を実現し、グラフィックス技術の進化における重要なマイルストーンを達成した」と主張している。「AI(人工知能)とレイトレーシングは、次世代のコンピュータグラフィックスを定義する技術の、基本的な構成要素となるだろう」(同氏)
DLSSは、ディープラーニングとAIを利用してGPUのトレーニングを行い、鮮明な画像を表示する。ディープニューラルネットワークを使用して、レンダリングされたシーンの多次元機能を引き出し、複数のフレームから収集した詳細をインテリジェントに組み合わせて、高品質な最終画像を作成する。このため、従来のレンダリングと同程度の品質でありながら、高い性能を備えた画像を作成することが可能だという。
NVIDIAは2018年に、Turningをベースとしたハイエンドのグラフィックスカード「GeForce RXT 2080」と「GeForce RTX 2070」を発表している。しかし、これらのカードの販売価格は、それぞれ799米ドルと599米ドルで、RTX 2060よりもかなり高額だ。
Huang氏は、「RTX 2060の販売に関しては、世界各国の大手機器メーカーやシステムビルダー、グラフィックスカードのパートナー企業などが、2019年1月15日から提供を開始する予定だ」と述べる。「PCゲームを手掛けるメーカーは、RTX 2060の登場に沸き立っている。この次世代ゲーミングを歓迎すべく、さまざまな種類の新型PCが登場する予定だ」(同氏)
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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