米国特許取得ランキング、9100件でIBMがトップ:AIや量子コンピュータなどで取得
2018年、米国全体での特許取得件数が減少する中、同国で最も多くの特許を取得したのはIBMだった。一方、新たに発表された特許保有件数の世界ランキングでは、Samsung Electronicsが群を抜いてトップとなった。
2018年、米国全体での特許取得件数が減少する中、同国で最も多くの特許を取得したのはIBMだった。一方、新たに発表された特許保有件数の世界ランキングでは、Samsung Electronicsが群を抜いてトップとなった。
IFI CLAIMS Patent Services(以下、IFI)がまとめたデータによると、米国では2018年に30万8853件の特許が交付された。特許取得件数が史上最高値となった2017年と比べ、3.5%減少した。IFIは、「Top 50 List」を発表する中で、米国出願特許の数が2018年に増加したことから、交付数は2019年に再び上昇するという予測を示した。
IBMは、前年比1%増の9100件という圧倒的な数の特許を取得し、ランキング首位を維持した。そのうち3000件以上がAI(人工知能)、クラウド、量子コンピューティング分野の研究開発に関連したもので、AI関連の特許は1600件に及ぶという。
一方、大半の企では特許取得数が減少した。例えば、2016年に4位(2925件)、2017年に6位(2628件)だったQualcommは、2018年は8位(2300件)に順位を落とした。Googleは2016年の5位、2017年の7位から11位に転落した。
順位を上げた企業としては、TSMC(2468件で6位)、Apple(2160件で9位)の他、Amazon、Boeing、Ford Motor、General Electric(GE)、United Technologiesといった米国の大手企業が挙げられる。
中国は、大国としては唯一、2018年ランキングで純増加を示した。中国は、前年比12%増となる1万2589件の特許を取得したが、これは2018年の米国特許発行数の4%に相当する。これにより、中国は米国特許取得件数で米国、日本、韓国、ドイツに次ぐ世界5位に躍り出た。
2018年に中国系企業として最も多くの米国特許を取得したのはHuawei(1680件で16位)で、2016年の21位、2017年の20位から順位を上げた。同じく中国系のBOEは1634件で17位となり、2016年の40位、2017年の21位から上昇した。同社が2016年の時点で取得していた米国特許はわずか870件だった。
グローバルでの合計はSamsungが圧倒的な数を取得
IFIは今回、世界各国にある20社以上の特許事務所にわたって一連の関連特許を所有している企業をまとめた「Ultimate Patent Ownership」というランキングも新たに発表した。このランキングを制したのはSamsung(6万1608件)で、2位のキヤノン(3万4905件)に大きく差をつける形で首位に立った。3位には、2位とわずかな差でIBMがランクインしている。IntelとQualcommはそれぞれ10位と11位。AppleやTSMCに至っては36位、38位とかなり落ちる。
ライセンス供与という領域はいわば「数争い」になるのが常であるが、この新たなランキングは、IP(Intellectual Property)市場に関する得難い洞察をもたらすものだといえる。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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