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Intelの創業7年目(1974年):DRAMが「特殊なメモリ」だった理由福田昭のデバイス通信(177) Intelの「始まり」を振り返る(10)(2/2 ページ)

今回は、Intel創業7年目となる1974年の半導体メモリに関連する状況を解説する。

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チップ単価が高くても使いやすさでSRAMを選ぶ

 ただし記憶容量当たりの単価は、SRAMがDRAMよりもはるかに高い。そして製品として入手可能な記憶容量は、DRAMが大きく、SRAMが小さい。同じ加工寸法の製造技術による記憶容量は、SRAMを「1」とするとDRAMが「4」というのが当時の通例となっていた。

 それでも小規模なシステムではメモリにSRAMを選んだ。必要とするメモリの総容量が、大規模なシステム(メインフレームなど)に比べるとはるかに小さいからだ。システムが搭載するメモリの個数が小規模なシステムでは少ない。従ってメモリを制御する回路やメモリに電源を与える回路のコストが、相対的に大きくなる。制御回路と電源回路のコスト低減を優先し、DRAMではなく、SRAMを採用した。

4KビットDRAMと1KビットSRAM、4KビットPROMが最大品種

 1974年の「年次報告書(アニュアルレポート)」から、当時のIntelにおける半導体メモリ製品の状況をもう少し具体的にご紹介しよう。

 DRAMは最大記憶容量が4Kビットの時代である。製造技術はnチャンネルMOS技術に移行した。DRAMでもアクセス時間の短い高速品は記憶容量が小さく、1Kビットにとどまっている。

 SRAMにはMOS技術のSRAMとバイポーラ技術のSRAMがある。MOS SRAMの最大記憶容量は1Kビットであり、MOS DRAMに比べて小さい。バイポーラSRAMの最大記憶容量は256ビットでさらに小さい。ただしバイポーラSRAMは、MOS SRAMに比べるとアクセス時間が短い。

 またプログラマブルROM(PROM)では、バイポーラ技術による多結晶シリコン・ヒューズ方式で記憶容量が4Kビットと当時としては最大容量の製品が、1974年に発売されている。


1974年における主な半導体メモリ製品の状況。1974年の年次報告書(アニュアルレポート)から抜粋したもの(クリックで拡大)

次回に続く)

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