半導体業界、今後2年は減速もその後は回復基調に:不確定要素も多いが(2/2 ページ)
米国の市場査会社であるIC Insightsでプレジデントを務めるベテランアナリストBill McLean氏は、半導体業界の見通しについて、「現在、中国および欧州の貿易や、メモリサイクルが底に達したことなど、さまざまな状況が不透明な中、半導体業界は、今後2年間で減速していくが、その後再び勢いを取り戻すとみられる」と述べている。
中国の勢いは?
半導体製造の新興国である中国の脅威については、McLean氏も「明言できない」という。
中国は、「中国製造2025」政策の下、2020年までに半導体需要の40%、2025年までに70%を自国で生産するという目標を掲げている。IC Insightsは、「この目標設定は楽観的で、実際に達成できるのは2020年までに17%、2025年までに24%程度と予想される」と述べている。
McLean氏は、「中国はある程度は成功すると思われるが、目標を達成できるとは考えにくい」と述べている。
中国の生産工場では2018年、約237億米ドル相当の半導体が生産された。これは、世界全体の半導体生産量の約5.5%に当たる。ただし、IC Insightsの見積もりによると、中国で生産された半導体の大部分(160億米ドル以上)は、IntelやSK Hynix、Samsungが運営するDRAMおよびNANDフラッシュの工場で製造されたものだという。
世界のファウンドリー事業における中国のシェアは、現時点では9.2%である。IC Insightsは、2023年には10.3%に成長すると予測している。
中国には間違いなく投資する資金がある。しかし、McLean氏によると、2018年5月以降、半導体事業への投資が行われていないようだという。
ただしIC Insightsは、YMTC(Yangtze Memory Technology)は例外と見ている。YMTCは、240億米ドルという巨額の投資によってNANDの主要メーカーに登りつめた。市場関係者は、「YMTCの投資額は2018年には3億米ドルだったが、2023年には54億米ドルに急増し、SMIC(Semiconductor Manufacturing International)を超えて中国第3位の半導体メーカーになる」と予想している。
ただし、McLean氏は、「この予測は確定的ではない」と認めている。同氏は、「Micron TechnologyやSamsung、SK Hynix、東芝は、YMTCが競合製品を出荷すればすぐに、NANDフラッシュの特許を侵害したとして同社を訴えるだろう」と続けた。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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