戦艦Intelの方向転換なるか ―― 新CEOの使命:Bob Swan氏がCEOに正式就任(2/2 ページ)
Bob Swan氏は、米国最大の半導体メーカーであるIntelで暫定CEOを7カ月間にわたり務めた後、正式にCEOに就任することが決まった。同社は現在、50年間の歴史の中で、最も重大な岐路に立たされている。依然として、半導体市場における優位性を確保しているが、その優位性をあとどれくらいの間にわたって維持できるのかは不明だ。アナリストたちは、「Intelは、差し迫った状況に対して重大な決断を下すことにより、同社が今後、どれくらい耐えられるのかが決まるだろう」とみているようだ。
技術者でも、古参社員でもないけれど
Krewell氏は「最初は、決断を先延ばしにするかのようにSwan氏を選んだのは、間違いだったのではないか思った。しかし、同氏に実際に会ってみて、Intelの戦略に関する話を聞くと、同氏が市場におけるIntelの位置付けについて、非常にバランスの取れた見解を持っているということがよく分かった」と述べる。
またKrewell氏は、「Swan氏は技術者ではないが、技術分野に精通した頼りになる経営幹部たちを抱えている」と述べる。
McGregor氏は、「Swan氏は実際に、暫定CEOを務めた7カ月間、技術的なバックグラウンドを持たないにもかかわらず、適切な質問を提示することにより、重要な意思決定を行うために必要な情報を十分得られていた。またIntelは、Swan氏のようなバックグラウンドを持つ指導者によって、社内文化が変化することで得られるメリットも享受することができる」と述べている。
Intelはこれまで、社外からCEOを迎えたことはない。Swan氏は厳密には社外の人間ではないが、Intel在任期間は比較的短く、同社の古参社員ではない。これは、大局的な視点から組織の上層部に新風が吹き込まれるというメリットになり得る。
Krewell氏は、「Swan氏はIntelの内情に通じているとも言われているが、同氏は2016年にIntelに入社したばかりだ。同氏は社外から見た客観的な見解をもたらす一方で、社内でも良好な関係を築いている。暫定CEO在任中も、変化を恐れずに取締役会の計画を推し進めてきた」と述べている。
なぜ7カ月もかかったのか?
確かにSwan氏は大きな課題に直面しているが、半導体業界の中では、既に采配を振るっていたSwan氏をCEOに任命するのになぜ7カ月もかかったのかという疑問の声が上がっている。噂によれば、IntelのCEO候補の中には同職に関心のない人もいたという。
Moorhead氏によるとSwan氏は当初、「Intelの正式なCEOに就任したいとは思わない」と述べていたという。Moorhead氏は、「Swan氏がCEO就任を望んでいないことには驚いたが、同氏はCEO候補として考慮に値する人物だと考えていた」と述べている。
Swan氏はMoorhead氏に対し、「暫定CEOに就任してから、同職が楽しく感じられるようになってきた」と話したという(Swan氏は2019年1月31日に従業員と顧客、パートナーに送ったeメールの中でこうした心境の変化に触れ、取締役会から打診を喜んで受けたことを明かしている)
Moorhead氏によると、Intelの取締役会は当初、CEOに求めることを厳密に把握できていなかったため、CEOの決定に時間がかかったようだ。同氏は、「IntelにはSwan氏が舵を取るのに十分なサポート体制が整っている」と付け加えた。
「Intelは非常に優秀な人材を擁しており、その中にはCEO候補に挙がった人物が2人いる。こうした強じんなチームが今後、Swan氏とIntelを支えていくとみられる」とMoorhead氏は述べている。
【翻訳:田中留美、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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