Intelの創業8年目(1975年):収入の伸びが鈍化して収支は初めての減益に:福田昭のデバイス通信(180) Intelの「始まり」を振り返る(13)(2/2 ページ)
今回は、創業8年目となる1975年の業績を紹介する。この年は売り上げの伸びが鈍化し、営業利益と純利益は前年比18%減と、初めての減益となった。
四半期業績は1975年第1四半期を底に回復
Intelは前年(1974年)の年次報告書から、四半期ごとの業績を掲載するようになった。1974年第1四半期から1975年第4四半期までの四半期業績を見ていこう。ここでは収入(売り上げ)と純利益に注目する。
1974年第2四半期までは、収入(売り上げ)は1本調子で伸びてきた。しかも利益率が高い。同年第1四半期の売上高純利益率(純利益/収入)は20.3%、同第2四半期の売上高純利益率は18.5%である。
しかし1974年第2四半期をピークに、四半期の売り上げは減り始める。売り上げの減少(前四半期比)は1974年第3四半期から1975年第1四半期まで続く。1974年第2四半期には3622万3000米ドルあった売り上げは、1975年第1四半期には3036万5000米ドルへとピークのおよそ8割にまで減少する。売上高純利益率も減少し、1974年第4四半期には9.6%まで低下した。
以降は、四半期の業績は回復へと向かう。1975年第2四半期から同第4四半期まで、連続して前の四半期を超える売り上げを計上する。同第4四半期には過去最高の売り上げを記録する。
ただし売り上げは回復したものの、売上高純利益率はあまり回復していない。1975年第2四半期から同第4四半期までの売上高純利益率は11%〜12%前後にとどまっている。研究開発費とマーケティング費を増額したことが、利益率を押し下げた。また同第4四半期には、メモリ生産の主流を1Kビット品から4Kビット品に転換したため、販売費も増加した。
成長鈍化と減益にもかかわらず、従業員数を積極的に増やす
1975年の年次報告書で興味深いのは、収入の伸びが鈍化しているにもかかわらず、経費を削減するどころか、むしろ積極的に経費を増加させていることだ。1975年における成長の鈍化は一時的なものであり、翌年(1976年)以降の成長を確実なものにするためには、技術開発と製品開発、顧客サポートの手を緩めてはならない、との意志が感じられる。
前述のようにIntelは1975年に研究開発費を大きく増やし、マーケティング費を大幅に増やした。さらには、従業員数も増やしている。1974年末に3150人だった従業員を、1975年末には4600人にまで増強した。1年間で1450人、比率にして46%も従業員を増やしたことになる。
(次回に続く)
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