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MIPS、オープンソース化で「RISC-V」越えを狙う?IPビジネスからの移行(2/2 ページ)

MIPSアーキテクチャのISA(命令セット)をオープンソース化する方針を発表したWave Computing。しかし、オープンソース化を実現するということは、長い間慣れ親しんできた既存のIP(Intellectual Property)ライセンスビジネスであるMIPSから、大きく移行することを意味する。

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組織的なオープンソース化

 Swift氏が「MIPSのオープンソース化プロジェクト『MIPS Open Initiative』は、MIPSを“全ての人に無料で”提供するわけではない」と説明しているように、MIPS ISAと特定コアはオープンソースコミュニティーにのみ利用を許可する方針だ。ユーザー定義の命令セットも許可するという。「オープンソース化は“組織的に”進めたいと考えている。こうしたやり方を好む企業がある一方で、そうでない企業もあるだろう」とSwift氏は述べている。

 言い換えると、MIPSの方針は“ルールの範囲で物事を進めるタイプの人”には受け入れやすいが、“全てを自由に進めたい人”には馴染まないかもしれない。

 Swift氏は、「30年以上にわたる実績は、MIPSアーキテクチャの付加価値となっている」と続けた。


画像はイメージです

 だが、ここで一つ疑問が生じる。Wave ComputingはMIPSのオープンソース化でどのように収益を上げようとしているのだろうか。同社は、新興技術企業として、“データセンターからエッジまで機械学習/深層学習を提供すること“を目指している。Wave Computingは“MIPS+AI(人工知能)”という戦略で収益を上げようと考えていて、MIPSは、同社のAI技術の市場投入を加速する鍵となるのだ。ただしWave Computingは、この戦略が具体的にどういったものかはまだ明らかにしていない。

 Swift氏は、RISC-V Foundationが成し遂げたことに対して高い敬意を表している。RISC-V Foundationは、「オープンソースハードウェアに対するニーズはとどまることを知らない」という潮流を迅速かつ的確につかんでいた。「イノベーションのプラットフォームとしてオープンソースハードウェアを活用したいという声は多い」とSwift氏は述べている。

 Swift氏はRISC-V Foundationに在任中、2つの教訓を得たという。1つは、オープンソースコミュニティーを成功させるには、大規模で強力な開発者団体が必要だということ。もう1つは、コミュニティーを支援する大企業が必要であることだ。RISC-Vはその2つを獲得しており、MIPSもそれに倣いたい考えだという。

 Swift氏は、「RISC-VとMIPSの間にはオープンソースコミュニティーのアプローチに若干の違いがあるが、どちらにも成功の可能性があると確信している」と強調した。

【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】

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