半導体市場、本格的な減速が始まる:16年7月以来の前年同月比減に
半導体業界は、ここ3年間連続で過去最高となる売上高を記録してきたが、広く予測されていたとおり、減速の兆しが見えてきたようだ。世界半導体市場統計(World Semiconductor Trade Statistics/WSTS)によると、2019年1月の半導体売上高は、四半期ベース、年間ベースの両方において急激に減少したという。半導体売上高が前年比で減少した月は、2016年7月以来のことになる。
半導体業界は、ここ3年間連続で過去最高となる売上高を記録してきたが、広く予測されていたとおり、減速の兆しが見えてきたようだ。
世界半導体市場統計(World Semiconductor Trade Statistics/以下、WSTS)によると、2019年1月の半導体売上高は、四半期ベース、年間ベースの両方において急激に減少したという。半導体売上高が前年比で減少した月は、2016年7月以来のことになる。
米国半導体工業会(Semiconductor Industry Association/以下、SIA)のプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるJohn Neuffer氏は、報道向け発表資料の中で、「2019年の半導体売上高は、全ての主要製品分野および地域市場において、2018年12月比で減少するという、遅いスタートを切った」と述べる。
また同氏は、「世界市場全体が、売上高低迷の時期に入ったのは明らかだ」と述べている。
半導体売上高は2018年に、前年比13.7%増となる4688億米ドルに達し、3年連続で売上高が伸び続けるという史上最高記録を更新した。WSTSが最近発表した予測によると、2019年の半導体売上高は2.6%増加するとみられているが、大半の独立系アナリストたちは、それほど楽観視していないようだ。
Neuffer氏は2019年2月に、半導体売上高を低迷、減少させる要因として、米中間の貿易戦争や、メモリ価格の下落、中国経済の低迷などを挙げ、警告している。SIAは、トランプ政権が中国製品に関税を課していることに反対を表明している。
WSTSによると、2019年1月の半導体売上高の3カ月移動平均値は、2018年1月比で5.7%減、2018年12月比で7.2%減となる、355億米ドルだったという。
またWSTSによると、米国の2019年1月の半導体売上高は、前年比で15.3%減、前月比で13%減だったという。
Neuffer氏は、「半導体売上高は低迷しているが、半導体業界の長期的な見通しは明るい。さまざまな消費者製品に搭載される半導体の種類が増加し続けている上、AIやVR(仮想現実)、IoT(モノのインターネット)、5G(第5世代移動通信)、次世代通信ネットワークなど、将来の成長をけん引する要素が数多く存在するためだ」と主張する。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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