デジタル時代の敬老精神 〜シニア活用の心構えとは:世界を「数字」で回してみよう(57) 働き方改革(16)(3/11 ページ)
今回は「シニアの活用」についてです。やたらとずっと働きたがるシニアに働いてもらうことは、労働力の点から見ればよい施策のはずです。ただし、そこにはどうしても乗り越えなくてはならない壁が存在します。シニアの「ITリテラシー」です。
誰も使わない(使えない)Webサーバ
加えて、私にやる気を失わせたもう一つの要因が、Webサーバの利用率の悪さでした。私は、町内会の役員が、必要に応じて、いつでも町内に情報発信できるように、掲示板サーバを作り直しました。
さらに、たくさんの利用マニュアルを自作し、会合の度に、各委員に使うように勧めてきたのですが、その利用者は、実質「私一人だけ」でした。
しかし、この問題もまた、全国各地で発生していると考えています。下図は、上記の総務省の資料から算出した「世代別の『掲示板に書き込みしない』比率」です。
匿名SNSなどで威勢の良い発言をしている人間が、自分の責任で公的な情報発信をするとなると、てんで「意気地がない」のです(投稿までのプロセスが面倒ということもあるでしょうが)。
いずれにしても、
- スマホやパソコンを普通に使える7割を超える町内会の会員に、膨大な負荷を与え続け、
- ITを使うだけで、その負荷を10分の1にも100分の1にもできるにもかかわらず、組織のトップがITの使用から逃げ続け、
- そのくせ、『今や町内会は存亡の危機にある。なんとかしなければならない』などとヌケヌケと言い放ち、
- 現実に行動を起こす者(私)に対して、ケチをつけることはできても、
- 具体的な提案は何一つ出さず、さらに、対案も出さない
というシニアたちを、私は山ほど見てきました。
同じようなことが日本全国で展開され、地域自治の仕組みは、地域住民からソッポを向かれて、壊れ続けていると確信しています。
もっとも、上記の私の主張は、シニアの人に対する悪意と侮辱に満ち溢れた、最低最悪の暴論、暴力だということは分かっています。
私たちは、誰もが、ITなどといううっとうしいものと関わらずに生きていく権利があります。「パソコンやスマホを使う/使わない」は個人の問題で、他人の私にとやかく言われるようなことではありませんし、そんなことが許されてはなりません。
ただ、それは、この問題が「自分の問題だけで閉じる限りにおいては」です。
残念ですが、町内会の幹部の皆さんは、この条件には該当しません(著者のブログ)。
その任を引き受けた経緯がどうあれ、その任をいったん引き受けたのであれば、私は「町内会の幹部の"あなた"」に対して、最大級の努力を要求します。
例えば私は、私のような生意気で口をきくことすら不愉快な奴に対しても、「私に頭を下げて、教えを請いに来い」と言います。―― もし、"あなた"が本気で『町内会をなんとかしなければならない』と思っているのならば、ですが。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.