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デジタル時代の敬老精神 〜シニア活用の心構えとは世界を「数字」で回してみよう(57) 働き方改革(16)(4/11 ページ)

今回は「シニアの活用」についてです。やたらとずっと働きたがるシニアに働いてもらうことは、労働力の点から見ればよい施策のはずです。ただし、そこにはどうしても乗り越えなくてはならない壁が存在します。シニアの「ITリテラシー」です。

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町内会がヤバい理由はITのせいだ

 さて、ここまでの話、「シニア活用」について、まだ1ミリも触れていません(後半で回収します)。が、さらに、町内会の話を続けてみたいと思います

 真面目な話、今や「町内会」は、本当にヤバいんです。この状況を、エンジニアリングアプローチ(あるいは、特許明細書風)に説明してみます。

 何が悪いって、ITが悪い

 行政は、地域のサービスを地域に押しつけ、IT化(コンビニでのマイナンバーカードを使った書類の発行など)で凌ごうと必死になっています。少子化による税収減少で、従来の行政機関を維持できなくなっているからです。

 実際のところ、行政が、孤独死、高齢者、子どもの安全安心までを見ることなど、不可能に決まっています。

 しかし、ITは、情報の世界だけでなく、物流(Amazon)とか、交流(SNS)とか根本的なものを変えてしまい、今や、非婚/少子化の加速エンジンになっています。これらの加速エンジンは、地域のコミュニティーを確実に破壊し続けています。現実世界とつながっていなくても、ネットサービスだけで生活は十分に成り立ってしまうからです。

 以前、私は「"核家族"すらも終えんして、今や"核個人"の時代になった」という持論を展開したことがあります(著者のブログ)。そのような時代において、今の町内会は、役に立つサービスを提供するどころか、個人の負担になる重荷でしかないのです。

 そもそも町内会に入っている人のほとんどが、そのメリットを実感できていません。

 多くの人が、町内会は「自然災害発生時」の保険という位置付けで入っているようですが、私は2年間の町内会の委員の仕事で、今は、それが「幻想」であることを確認しました(というか、私が委員に就任した動機が、その調査にあった)。

 私たちは税金を払っているのですから、町内会があろうがなかろうが、災害発生時に公的な救助を受けられることは当然です。町内会の会員だけが特別扱いされるとしたら、それは不当利得(民703、704条)です ―― とはいえ、町内会は行政機関とのコネクションがあるので、わずかに有利な立ち位置にあるのは事実ですが。

 個人的な意見ですが、『子どものための盆踊り』、『子どものための秋祭り』という、「子どものため」を連呼する大人(シニア)が、私はどうにも好きになれません。

 例えば、「子どものため」というのであれば、夏祭りを開催するコストで、子ども全員をディズニーランドに連れていった方が、子どもは喜ぶはずです(しかも安い)。だから、正直に『私が、私を楽しませるために、夏祭りと秋祭りを開催するのだ』と正直に言い切る大人の方が、私は好きです。

 結局のところ、自分の「居所」に対する思想の違いが一番大きいと思います。簡単に言うと、自分の人生の「根を張る」所か、単なる「通過点」にすぎないかという考え方の違いです。

 町内会は、結構な努力をしてサービスを提供しているのですが、それを『見える化』できていません(だから、私は町内会のWebシステムで(以下省略))。それに、町内会が提供するサービスの多くは、今や民間サービスで補えます(回覧板による近隣チェックより、警備保障システム会社に頼む方が確実で安心)。

 「地縁」という考え方があります(「血縁」に似ている)。「人生の基盤(プラットフォーム)は自分の住んでいる場所とそこにいる人間にある」と考える思想です。これは、私のいう「人生の基盤は自分自身である」と考える「核個人」と真逆の考え方です。

 これらの考え方の是非はともかく、現在の社会が「核個人」に向いていることは、今の社会の状況を見れば明らかです。

 私は、ことあるごとに「町内会は、"個"にサービスを提供するものに変わっていかなければならない」と言い続けてきました。ところが、その実体は「"個"を町内会の生け贄にする」ことで成り立ち、「存続すること、そのものを目的としている」ようなもので、―― 町内会の役員は「懲役刑」みたいなものという状態にあります(著者のブログ)。

 そして、その責任の一端は、「古き良き時代 ―― IT(パソコンやらスマホやら)がなかったシンプルで分かりやすい時代」のやり方に固執して、時代に追い付こうとしない、シニアたちにあるのです。

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