インフィニオン、日本が全社の成長をけん引:カスタマイズ要求も国内で対応(2/2 ページ)
インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは、「日本市場における戦略」や「パワー半導体事業の取り組み」などについて記者説明会を行った。顧客に合わせたソフトウェア開発など、カスタマイズ要求にも国内の開発拠点で対応する。
「iMOTION」のカスタマイズ、4月より本格開始
同社IPC事業部門が手掛けるパワー半導体の製品数は、2300点を上回る。IGBT素子や同モジュール製品、ドライバーICなどの市場シェアは首位である。IPM製品でも先行メーカーを追い上げる。
同社の強みについて、IPC事業本部長を務める針田靖久氏は、「300mmウエハーを用いたパワー半導体の量産、フルSiC化によるスイッチングロスの大幅な低減、Siltectra買収によるSiC材料の損失削減」などを挙げた。2019年内には、耐圧1200Vクラスを中心にIGBTモジュールの組み立てを中国の工場でも始めることを明らかにした。端子配置のカスタマイズなどに現地で対応するのが狙いである。
Siltectraが開発した「Cold Split」とは、1枚の処理済みSiCウエハーを水平方向にスライスし、2枚のウエハーに分割する技術である。一般的に用いられるSiCウエハーの厚みは約300μmといわれている。これまでは処理済みSiCウエハーの下半分を研磨して、素子自体を薄くしていた。Cold Split技術を用いると、研磨による損失がなく、切断した下半分のSiCウエハーも再利用することができるという。Cold Split技術は、インゴッドのスライスにも応用することが可能である。
2018年10月には、東京都内に東京テクノロジーセンター(TTC)を開設した。TTCは「品質解析」機能に加え、「ADAS(先進運転支援システム)」や「産業用モーター制御」に関する開発拠点と位置付ける。日本の顧客に対し、カスタマイズなどの技術サポートを行う。
特に、iMOTIONシステムサポートセンターでは、モーター制御向けに開発した製品ファミリー「iMOTION」のカスタマイズや、関連するソフトウェア開発などを行う。2019年4月より、本格的に業務を開始する予定だ。
世界のパワー半導体市場では業界をリードする同社だが、日本市場では競合するメーカーも多い。このため、2017年から日本市場では「Japan 555」作戦を展開中である。5つのターゲット顧客と5つのターゲットアプリケーションを定め、5つの施策を通じて、日本市場におけるIPC事業で、年率20%の成長を目指す。
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