パナソニック、HD-PLC搭載製品の実証を開始:新技術実証制度を活用
パナソニックは、高速電力線通信技術「HD-PLC」を家庭内機器に搭載するための実証実験を開始した。政府の新技術実証制度(レギュラトリー・サンドボックス制度)を活用して行う。
利用範囲の拡大に向けた環境づくり
パナソニックは2019年4月5日、高速電力線通信技術「HD-PLC」を家庭内機器に搭載するための実証実験を開始したことを発表した。政府の新技術実証制度(レギュラトリー・サンドボックス制度)を活用して実施する。実験結果は諸制度の整備に反映させる。
パナソニックは、「くらしアップデート」をコンセプトに、生活に密着した商品やサービスを提供している。この情報基盤と位置付けるのが、くらしの統合プラットフォーム「HomeX」である。HomeXには「HD-PLC」技術を積極的に活用する方針だ。
既に国内では、PLC専用アダプターや通信機器などで、「HD-PLC」搭載の製品が登場している。しかし、家電製品や住宅設備機器などへの搭載は、電気用品の技術基準解釈の改定など、普及に向けた環境整備が必要だという。今回の実証実験を通じて、HD-PLC技術の利用範囲を拡大するための環境づくりを行う。
実証実験は、パナソニックの敷地内に設けた複数の住宅および、社員宅を利用して、2019年4〜6月に実施する。具体的には、住宅内に設置された冷蔵庫や洗濯機、電子レンジ、エアコンを始め、テーブルタップ、照明機器などに「HD-PLC」機能を搭載する。
これらの電子機器をコンセントに差し込み、「セキュリティを確保した上でネットワークの接続性を評価」「金属製の筐体や、壁などの躯体に遮られることのない、利便性ある通信性能および、新たなサービス導入に対する評価」「HD-PLC動作時における家電製品への影響について客観的評価による許容性の確認」などを行う予定である。
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