インテル、第2世代の「Xeon SP」提供を開始:推論のスループットは28倍に向上
インテルは2019年4月9日、インテリジェント・エッジからクラウド、人工知能(AI)、第5世代移動通信(5G)に広がる高いコンピューティング能力を必要とする処理に最適化された「第2世代インテル Xeon スケーラブル・プロセッサ」や、「インテル Optane DC パーシステント・メモリ」などの新製品の提供を同日から開始したと、発表した。
Intelの日本法人インテルは2019年4月9日、都内で記者会見を開催し、クラウド、人工知能(AI)、第5世代移動通信(5G)のアプリケーションで求められる高いコンピューティング能力を必要とする処理に最適化された「第2世代インテル Xeon スケーラブル・プロセッサ(以下、第2世代Xeon SP)」や、「インテル Optane DC パーシステント・メモリ」などの新製品の提供を同日から開始したと、発表した。
インテルの社長を務める鈴木国正氏は、「Cisco Systemsが発表した、国別における2022年までのデータ通信量の増加予測によると、日本はインド、中国に次いで3位。日本では、デジタルトランスフォーメーションを含め、データ変革の時代が確実にやってくる」と述べ、データ量の爆発的な増加に伴い、それらのデータを処理する高性能コンピューティングの必要性を強調した。
説明会に登壇したIntelの副社長でクラウド・プラットフォーム&テクノロジー事業部の事業部長を務めるJason L. Grebe氏は、「AIや5Gなどのトレンドによってコンピュータの性能に対する要求は増加した。今後もこれまで同様に加速していくだろう。こうしたニーズに対応できるよう、製品全体のポートフォリオを拡充していく」と説明した。
第2世代Xeon SPは、50を超える標準製品と数十種類のカスタム製品を用意。ソケットあたりのコア数は最大で56コア、ソケットあたりのメモリ数は、「Optane DC パーシステント・メモリ」と組み合わせることで4.5Tバイト以上となっている。ソケット数は最大8基で、前世代の3倍である最大36Tバイトのメモリ容量を実現した。
また、データセンター、エンタープライズ、インテリジェント・エッジ・コンピューティング環境で画像認識、オブジェクト検出、画像セグメンテーションといった機械学習の推論ワークロードを高速化できるように最適化された「インテル・ディープラーニング・ブースト(DLブースト)」も実装。これにより、推論のスループットは、2017年の「Xeon Platinum 8100」と比較し、14倍に向上した。
さらに最上位の「Xeon Platinum 9200」においては、Xeon Platnum 8100と比較すると、28倍以上、向上するという。また、「Open VINO」などの拡張ツールを利用して、容易に開発、導入を進めることが可能だ。Grebe氏は、「さまざまな推論ワークロードに対応しており、どんな企業にも確実に活用してもらえると確信している」と話した。
Optane DCパーシステント・メモリは、8ソケット・システムの場合、36Tバイトの利用が可能で、広い帯域幅を実現している。DRAMより安価かつ大容量であり、Grebe氏は「メモリビジネスの経済性の構造を大きく変えることになる。素晴らしいテクノロジーの可能性が開かれていくだろう」と話した。
説明会では、デュアルポート機能によって障害時やサービス動作時、アップグレード時にも継続的にデータにアクセスできるというデータ経路の助長性を確保したSSD「Optane SSD DC D4800X」や、64層QLC技術(4ビット/セル)を採用することで、安価かつ1Uあたり1Pバイトという大容量を実現したSSD「D5-P4326」も紹介された他、消費電力やスペースが限られるエッジデバイス向けの「インテル Xeon D-1600 プロセッサ」の提供開始についても発表された。
Xeon Platinum 9200を搭載したシステムは、2019年上半期に出荷を開始する予定。2019年第3四半期にはNIC(Network Interface Card)の新製品「Ethernet 800シリーズ」の生産も開始する他、2019年後半にはFPGAの新製品「Agilex FPGAファミリー」のサンプル出荷も始めるという。
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