Samsungが5nmプロセスの開発を完了、2020年に量産:TSMCにやや先行する形に
Samsung Electronics(以下、Samsung)は、EUV(極端紫外線)を用いた5nmプロセスの開発が完了し、受注を開始したと発表した。
Samsung Electronics(以下、Samsung)は、EUV(極端紫外線)を用いた5nmプロセスの開発が完了し、受注を開始したと発表した。同プロセスでは、Samsungが2018年10月に発表したEUVを用いた7nmノードに比べ、密度は25%高まり、性能は10%向上したほか、消費電力は20%減少するという。同社は現在、韓国・華城市にある既存の「S3」工場の隣に2つ目のEUVファウンドリーを建設中だが、そこでの生産を2020年に開始する計画も明らかにした。
今回の発表で、Samsungは、TSMCにやや先行する形となった。TSMCは今週(4月22日の週)、5nmプロセス開発に関する最新情報の発表を予定していたからだ。チップの小型化、高速化がより複雑になり、コストも高騰し続ける中、両社は、利益性は高いものの縮小している最先端技術市場をけん引しようと競い合っている。
Samsungは、5nmノードに用いられるラインの幅やピッチと、新たなプロセスの関連コストについては明らかにしなかった。
Samsungのファウンドリー部門でシニアバイスプレジデントを務めるShawn Han氏は、「われわれは、大半は7nmのバックエンドでEUVを用いてきたが、5nmではラインの中盤でもう少しEUVを用いるようにする。当社はEUV生産をリードする位置につけている」と述べた。一方で、EUVウェハーのスループットやアップタイム、欠陥レベルについての詳細は明らかにしなかった。
Han氏は「業界のあらゆるチームは、最良の光源の確保や、マスクの欠陥をなくすこと、EUVフォトレジスト向け材料の強化などに取り組んでいる。(中略)当社が有利な点として、これまでノウハウを構築してきたマスク製造施設を社内に有していることが挙げられる」と述べた。
2018年10月、Samsungは自社の1日当たりのEUVスループットが1500枚以上であったことを明らかにした。光源は、300Wの目標に対し、250Wを維持し、ピーク時には280Wを達成したという。
5nmプロセスでは、密度が25%高まり、性能が10%向上し、消費電力が20%減少するが、これまでに比べると進歩は比較的小さい。Samsungは2018年10月に、同社の7LPPプロセスを用いれば、10nmプロセスに比べて密度は最大で40%高まり、性能は20%向上し、消費電力は50%減少すると言及していたからだ。
Samsungは7nmで利用可能なIPの数や種類を挙げることを拒否し、5nmノードでも全て変わらずに機能すると述べるにとどめた。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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