次世代メモリの考案から製品化まで:「ステルス」モードの研究開発:福田昭のストレージ通信(143) 半導体メモリの技術動向を総ざらい(6)(1/2 ページ)
次世代メモリの発案から製品化までは10年近くかかる。今回は、その道のりの後半部分として、設計ルールの選択やサンプル試作、量産までのステップを説明する。
次世代メモリの考案から製品化までの長い道のり
2018年8月に米国シリコンバレーで開催された、フラッシュメモリとその応用製品に関する世界最大のイベント「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」でMKW Venture Consulting, LLCでアナリストをつとめるMark Webb氏が、「Annual Update on Emerging Memories」のタイトルで講演した半導体メモリ技術に関する分析を、シリーズでご紹介している。
なお講演の内容だけでは説明が不十分なところがあるので、本シリーズでは読者の理解を助けるために、講演の内容を適宜、補足している。あらかじめご了承されたい。
本シリーズの前回では、「次世代メモリのアイデアが誕生してから、製品化に至るまでの道のり」を解説している。次世代メモリのコンセプトを考案してから、実際に製品を市場に出荷するまでに必要とする時間は、かなり長い。10年を要することも珍しくない。新しいメモリ技術を考案してから製品化までに8年(96カ月)を要すると仮定し、前回は前半の4年間(48カ月)を説明した。今回は後半の4年間をたどっていく。
前回でも述べたように研究開発には、研究成果を外部に公表しながら進める「オープン」モードと、研究開発の成果を外部にまったく公表せずに進める「ステルス」モードがある。良く知られているのは、前半の4年間は「オープン」モードで研究開発を進め、後半の4年間は「ステルス」モードで研究開発を進めるやり方だ。といっても、「4年」に意味はない。重要なのは研究開発の進行状況である。メモリセルアレイを含めたマクロを試作して動作と信頼性を確認するまでが前半、試作結果を実際の製品へと持ち込むまでが後半に相当する。
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