HDD大手Western Digitalの19年1〜3月業績は3期連続の減収減益:福田昭のストレージ通信(144)(2/2 ページ)
ハードディスク装置(HDD)の大手ベンダーである米Western Digital(以下、WD)と米Seagate Technology(以下、Seagate)が、四半期の業績を相次いで公表した。発表日(現地時間)はWDが4月29日、Seagateが4月30日である。そこで今回と次回は、半導体メモリ技術の動向を解説するシリーズ連載を休載し、WDとSeagateの四半期業績をご説明する。
データセンター向け製品の売り上げが増加に転じる
部門別の売上高を見ていこう。WDは売り上げを3つの部門に分けて公表している。その3つとは、「データセンター用デバイス・ソリューション(Data Center Devices and Solutions)」部門、「クライアント用ソリューション(Client Solutions)」部門、「クライアント用デバイス(Client Devices)」部門、である。
データセンター用デバイス・ソリューション部門には、エンタープライズ用HDD、エンタープライズ用SSD、データセンター用ソフトウェア、データセンター用ソリューションなどが含まれる。売上高は前四半期比16%増の12億4500万米ドルである。エンタープライズ向け容量重視型HDDの販売が予想を超えて伸びた。
クライアント用ソリューション部門には、映像業務用HDD、映像業務用SSD、バックアップ用HDD、USBメモリ、SDカードなどが含まれる。売上高は前四半期比15%減の8億400万米ドルである。
クライアント用デバイス部門には、ノートPC用HDD、デスクトップPC用HDD、コンシューマーエレクトロニクス用HDD、クライアント用SSD、組み込み用製品などが含まれる。売上高は前四半期比27%減の16億2500万米ドルである。スマートフォン向けの需要が弱いためにモバイル向け組み込み製品の売り上げが減少したほか、季節要因とフラッシュメモリ価格の値下がりによってPC用製品の販売額が低下した。
フラッシュ応用品の粗利益率が大幅に低下
WDはHDD製品とフラッシュ応用品の売上高と粗利益率を公表している。2019会計年度第3四半期におけるHDD製品の売上高は20億6400万米ドル、フラッシュ応用品の売上高は16億1000万米ドルである。HDD製品の売上高は前年同期比21.8%減、前四半期比0.2%増であり、前四半期とほぼ同じ水準だった。フラッシュ応用品の売上高は前年同期比32%減、前四半期比26%減と厳しい。
粗利益率はHDD製品が29%で、前四半期に比べて2ポイント増加した。フラッシュ応用品は21%となり、前四半期の35%から大幅に減少した。フラッシュ応用品の粗利益率は2018会計年度(2017年7月〜2018年6月)には50%を超えており、粗利益率が約30%のHDD製品に比べて高い利益を得ていた。それがNANDフラッシュの大幅な値下がりなどにより、粗利益率はHDD製品よりも低い水準にまで悪化している。
(次回に続く)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 次世代メモリの発案から製品化まで:「オープン」モードの研究開発
次世代メモリのコンセプト考案から製品化までの道のりは長く、10年近くかかることは珍しくない。今回は、その道のりを見ていこう。 - 次世代メモリの考案から製品化まで:「ステルス」モードの研究開発
次世代メモリの発案から製品化までは10年近くかかる。今回は、その道のりの後半部分として、設計ルールの選択やサンプル試作、量産までのステップを説明する。 - 次世代メモリの「理想と現実」
今回は次世代メモリの理想と現実の違いを述べるとともに、コンピュータのメモリ階層における次世代メモリの立ち位置をご説明する。 - DRAMのスケーリング論
今回はDRAMのスケーリングと、次世代メモリへのニーズが高まっている背景を取り上げる。 - NANDフラッシュメモリのスケーリング論
2018年8月に開催された「フラッシュメモリサミット」から、半導体メモリの技術動向に関する講演の内容を紹介するシリーズ。今回は、次世代メモリが期待される3つの理由のうち、スケーリング(微細化または高密度化)について解説する。 - HDD大手Western Digitalの四半期業績は2期連続の減収減益
今回は、Western Digital(WD)の四半期決算(2019会計年度第2四半期)について、まとめる。