LEDフリッカーの抑制とHDRを両立した車載用ISP:オムニビジョンが発表(2/2 ページ)
CMOSイメージセンサーを手掛ける米OmniVision Technologies(以下、オムニビジョン)は2019年5月13日(米国時間)、車載用の映像処理プロセッサ(ISP:Image Signal Processor)の新製品「OAX4010」を発表した。HDR(High Dynamic Range)とLEDフリッカー抑制機能を両立するアルゴリズムを実装したもの。
モバイル、監視カメラ、車載カメラに対する要件
オムニビジョン日本支社長の薄井明英氏によれば、オムニビジョンは、モバイル、ノートPCおよびタブレット、監視カメラ、車載カメラ、医療カメラ、新規アプリケーションの6つを主要ターゲット市場としており、特にモバイル、監視カメラ、車載カメラの3分野に注力しているという。
「これら3つの分野では、イメージセンサーのトレンドや要件が異なる。モバイルでは、3200万画素、4800万画素といったように解像度を上げていくことがトレンドになっている。監視カメラでは感度をいかに上げていくかが課題で、車載カメラでは、HDRの精度を上げるというニーズがある」(薄井氏)
オムニビジョンは、監視カメラなど向けで近赤外の感度を向上する「Nyxel(ニクセル) technology」という独自技術を持っている。PDの中に大量の電荷を滞留させることで、感度を上げる仕組みだ。感度を高くできるので、LEDの使用数を減らしたり、光源のパワーを削減できたりと、システムの低消費電力化に貢献するという。
「Nyxel technology」を適用した画像(右)と、適用していない画像。ディスプレイの左上に、感度を示すグラフがあるが、Nyxel technologyを適用した方は感度が高いことが分かる(クリックで拡大)
薄井氏はオムニビジョンの強みとして、1つの分野向けに開発した技術を他の分野にも柔軟に応用できる点を挙げた。
記者説明会では、医療機器向けとして、カテーテル向けのケーブル付き小型カメラも展示していた。カテーテルは血管中を通すもので直径は1mm以下。日立金属との協業で開発した製品で、既に実用化されている。カメラのパッケージサイズは0.65×0.65mm。
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