ArmがHuaweiとの取引を禁止か、社内メモがリーク:大打撃を被る可能性も
Armの社内メモのリークについて報道されているが、その内容は、中国にある子会社を含めた全社員に対し、Huaweiとの協業とサポートを停止するよう指示するものだった。これは、米中貿易戦争における最大の打撃の一つになる可能性がある。
Armの社内メモのリークについて報道されているが、その内容は、中国にある子会社を含めた全社員に対し、Huaweiとの協業とサポートを停止するよう指示するものだった。これは、米中貿易戦争における最大の打撃の一つになる可能性がある。
英国BBCは、Armが、米政府による対Huaweiの規制を受けて、Huaweiおよびその子会社と締結中の契約、サポート権利、ペンディング中の取り組みを全て停止するよう社員に伝える2019年5月16日付の社内メモを確認したと報じた。EE TimesがArmにコンタクトを取りコメントを求めたところ、同社の広報担当者は社員に対する指示について「米国政府が最近発表した規制に従ったもの」と説明した。
Armは、ある“不運な状況”により、「サポートの提供、(ソフトウェアや、あらゆるアップデートを含めた)技術の提供、技術関連の協議への参加、あるいはHuawei、HiSilicon、その他のあらゆる関連組織との技術的な問題に関する話し合い」ができなくなったことを伝える文書を、Huaweiの社員(またはHuawei関連会社の社員)に送付するようスタッフに指示した。
今回リークされたメモは、Armの従業員がどう対応すべきかを明確に伝えるものだったとみられる。
例えば、業界のイベントなどでHuawei社員と接触した場合、Arm社員はビジネスに関するあらゆる対話を「丁重に断り、中止しなければならない」と指示されている。それに従わなかった社員は、貿易ルールを破ったことに対して、個人的に責任を負う可能性があるという。BBCによれば、これはArm Chinaの社員に対しても適用されるようだ。
Armは2018年にArm Chinaを設立したが、その主な目的は、現地の知的財産(IP)所有権に関する問題を解決することと、中国の開発企業がArm ChinaからIPライセンスを受けられるようにすることだった。
Huaweiは400人から成る開発チームを構築するため、英国ケンブリッジのArm本社から15分の場所にある土地を購入済みだ。今回のArmによる禁止令によって、Huaweiがこの土地をどうするのかに注目が集まっている。Huaweiが2019年5月に発表した内容によると、同社は2018年にこの500エーカーの土地を3750万英ポンド(約52億1830万円)で購入することを取り決めた。2021年には施設の運営を開始し、半導体やAI(人工知能)の開発に取り組む計画を明らかにしていた。
欧州各地の報道機関は2019年5月20日の週、Infineon Technologiesから得た情報として、同社が米国政府の規制に従い、Huaweiへのチップ出荷を停止したと伝えた。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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