業績は右肩上がり、倉庫増設でロボット導入も:Mouserが都内で記者説明会を開催(2/2 ページ)
Mouser Electronics(マウザー エレクトロニクス、以下Mouser)は2019年5月23日、東京都内で記者会見を開催し、同社の業績や戦略について説明した。
新倉庫ではロボットの導入も
Mouserが取り扱う全ての製品は、同社が米国テキサス州マンスフィールドに保有する1つの倉庫から全世界に発送される。倉庫の拡張にも着手していて、新しい倉庫では、製品をピックアップする作業にロボットを積極的に導入することを検討している。Smith氏は、これによって労働環境の改善や、製品出荷までの時間の短縮を図れると意気込む。なお、Mouserは売上高の20%を設備投資に投入している。
米中貿易摩擦の影響は
Smith氏は、2018年が非常に好調だった一方で、2019年は少し厳しい年になると述べる。米中貿易戦争の影響について、「どの業種がどのような影響を被るのか、それはもう少し様子を見なければ分からない。ただ、当社は約700社の中国サプライヤーを抱えている。関税が10%のうちは大した影響はないかもしれないが、25%になると影響は大きくなるだろう。中には、生産拠点を中国以外に移転するメーカーも増えるかもしれない。なお、当社の倉庫があるマンスフィールドは自由貿易地域(FTZ:Free Trade Zone)だ。われわれは立地上、通商関係の問題の影響を最小限抑えられるところに拠点を構えている」と語った。
会見では、Mouser Electronicsの日本担当バイスプレジデントでマウザー・ジャパン総責任者を務める勝田治氏も登壇し、日本での戦略も説明した。「われわれの強みは最新製品を多数、取りそろえていること。サプライヤーと密な関係を築いて、当社に常に新製品を提供してもらうことが戦略の中核となる。そのために、積極的なマーケティング活動を続けたり、マクニカとの協業を強化したりしている」(同氏)
勝田氏は「われわれは(日本でのディストリビューターとしては)後発なので、国内でのプレゼンスが競合に比べると弱いと感じている。日本の大手メーカーの顧客にもリーチできていない」と課題を挙げた一方で、「当社の既存顧客の多くは中小企業のエンジニアだ。そうした多数の顧客は、米中貿易戦争の影響をまだ受けておらず、そこからの引きが強い。現在行っているさまざまな施策が功を奏すれば、売り上げがさらに伸びていくと確信している」と語った。
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