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「日本はAI後進国」 ソフトバンク孫氏が危機感を強調SoftBank World 2019で基調講演(2/2 ページ)

ソフトバンクグループ会長兼社長、孫正義氏は2019年7月17日、東京都内で実施した企業向けイベント「SoftBank World 2019」の基調講演で登壇した。孫氏はAIによるイノベーションの展望に触れたうえで、「日本はAI後進国になった。手遅れではないが、1日も早く目を覚ましてキャッチアップしなければならない」と訴えていた。

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「AI起業家が業界を革新している」

 講演の冒頭では、孫氏は人類の進化に触れながら、「推論する力は進化の最も大きな源泉だ」と述べていた。データの爆発的な増大の予測を示し、そのデータを「AIの推論」によって活用することで「人類の進化は更に加速する」とし、「ちょうど25年前にインターネットが始まったばかりの時に、私は毎日興奮してさまざまな事業を開始したり投資したりしてきたが、同じ興奮、あるいはそれ以上の興奮でAI革命の入り口にいる」と、『インターネット革命』以上の将来性を強調した。

 孫氏は、SoftBank Vision Fundについても説明。AIで単なる画像認識を技術的にやる、そんな時代はもう終わった」と語り、AIによる技術革新をビジネスに利用し業界を革新している『AI起業家』として、SoftBank Vision Fundの投資を受けているOYO Hotels & Rooms、Grab、Paytm、Plentyの4社の各CEOを紹介した。


SoftBank Vision Fundは、AI、ユニコーン企業に特化した投資を行い、シナジーを生み出していく、という。(クリックで拡大)

 例えば、格安ホテルの予約サービスを提供するOYO Hotels & Roomsは2013年に設立したインドのベンチャー企業だが、AIの活用によって現在では80カ国で110万以上の客室を提供するなど、世界第2位のホテルチェーンとなっている。また、Grabは、シンガポールに本社を置くシェアモビリティサービス企業。同社のアプリは、クルマの移動経路の最適化や好みや場所に応じた食事の提供などを実現、さらにはモバイル決済サービスも提供しており、ダウンロード数1億5000万以上、利用回数30億回(2012年以降)を誇る。Uber同様のビジネスモデルであり、東南アジアにおいてUberと激しく争い、勝ち抜いた「東南アジアNo.1企業」だ。

投資先の企業(左)と、そのトップたち(右)。孫氏は、「AI革命の起業家たった1人の誕生が、これからの人類の未来を決定的に変えてしまう。と感じている」と話していた。(クリックで拡大)

 このように、いずれもの企業もAIを活用することによって急成長しているといい、孫氏は「SoftBank Vision Fundをやってよかった。世界中のAIを使った『ナンバーワンの会社』、年率2〜4倍伸びているような企業集団が、われわれのファミリーに入った」と述べていた。

 講演の最後に、孫氏は、「AI革命が進むと、『人間が仕事を奪われる』『存在意義そのものが疑われる』というように悲観的な見方をする人がいるが、決してそうではない」とも語った。そして、「かつて人々の職業の90%は農業だった。農業が機械化されて農業従事者は減少したが、結局仕事を失ったのではなく、新しい仕事が生まれた。人間は進化していった。われわれは情報革命を進めていくが、それはAIが人々をより幸せにしていくためだ。人間の幸せのためのAI革命を進めていく。そういうチャンスが目の前に来ている」と締めくくった。

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