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5nm/7nmチップの需要を後押しするのは「5G」TSMCが年間投資額を引き上げ

TSMCは、「5G(第5世代移動通信)開発の世界的な加速に伴って、5nmと7nmチップの需要が以前の予測よりも増加する」と予想している。

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 TSMCは、「5G(第5世代移動通信)開発の世界的な加速に伴って、5nmと7nmチップの需要が以前の予測よりも増加する」と予想している。

 同社は2019年第2四半期決算発表で、「需要が非常に堅調であるため、年間投資額を2019年初めに上限として設定していた110億米ドルから引き上げる準備を進めている」と語った。さらに、「2019年の設備投資を増額して、2020年の5nm生産に向けてツールの導入を早める必要もあるかもしれない」と述べている。

 同社の最先端ノードである7nmは、2019年第2四半期の売上高の21%を占め、同社の新たな主要製品になる見通しだ。一方、10nmは3%、16nmは23%を占める。これら3つのノードは総売上高の47%を占め、2019年第1四半期の42%から増加した。

 AppleやHuaweiなどの大手顧客を有するTSMCは、世界のエレクトロニクス業界の展望は明るいと考えているようだ。


TSMCのCEOを務めるCC Wei氏

 TSMCのCEO(最高経営責任者)を務めるCC Wei氏は決算発表で、「当社は事業サイクルの底を抜け出し、需要が増加し始めた」と述べた。ただし、「経済情勢は世界的に軟調で、貿易の不透明感は今後も続く」と付け加えている。

 それでも、2019年第2四半期は、同社のファブレス顧客の在庫全般が減少し始めているという。

 2019年第3四半期のTSMCの事業は、プレミアムスマートフォンの新製品発売と高性能コンピューティングアプリケーションへの7nmチップの採用拡大にけん引される見通しだという。

 同社は、5Gの開発が世界的に増加することで、世界の主要市場で5Gネットワークの展開と5Gスマートフォンの導入が加速すると予想している。

2020年前半に5nmプロセスでの量産も

 7nm以降のノードに関しては、TSMCは「N7+」と「N6」と呼ぶプロセスで微細化を進めていくという。同社によると、7nmプロセス(N7)はモバイル機器や高性能コンピューティング、IoT(モノのインターネット)アプリケーションで堅調な需要が続いているという。N7+は、いくつかの重要な層にEUV(極端紫外線)リソグラフィを適用する。同プロセスは量産に入っており、2019年第3四半期中にN7+を搭載したさまざまな最終製品が顧客企業から発売される見通しだという。

 N7+より多くの層でEUVを使用する予定のN6は、2020年後半に初めてテープアウトされ、同年末までに量産を開始する見込みだ。

 さらに、TSMCは、2020年前半に5nmの生産を開始する計画だという。同社は、「当社の5nm技術は急成長を遂げ、広く普及し長期的に採用されるノードになると確信している」と述べている。Wei氏は「5nmプロセスでは、複数の大手メーカーが5Gスマートフォンでの採用に非常に前向きになっている」と続ける。これは、TSMCの最大の顧客であるAppleが、2020年にリリースする「iPhone」向けプロセッサに5nmプロセスを適用することを示唆しているのではないか。

 複数のアナリストは、米中間の貿易摩擦がTSMCの事業に影響を与えるのではないかという懸念を示した。Huaweiは米国のエンティティリストから外されておらず、これによって5G導入のスピードが鈍化する可能性もある。Morgan Stanleyでアナリストを務めるCharlie Chan氏は、「最も大きな影響を受けるのは、5Gインフラかもしれない」との見解を示した。

【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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