中国Pingtougeが16コアの「RISC-Vプロセッサ」を開発:Alibaba Groupの半導体メーカー
中国Alibaba Groupの半導体チップメーカーであるPingtouge Semiconductor(以下、Pingtouge)は2019年7月、AI(人工知能)、5G(第5世代移動通信)、IoT(モノのインターネット)、自動運転車のインフラストラクチャに向けたRISC-Vベースのプロセッサ「Xuantie 910」を発表した。
中国Alibaba Groupの半導体チップメーカーであるPingtouge Semiconductor(以下、Pingtouge)は2019年7月、AI(人工知能)、5G(第5世代移動通信)、IoT(モノのインターネット)、自動運転車のインフラストラクチャに向けたRISC-Vベースのプロセッサ「Xuantie 910」を発表した。同社は「これまでで最も強力なRISC-Vベースのプロセッサ」と主張する。
Pingtougeは、中国・上海で開催されたカンファレンス「Alibaba Cloud」で発表された。Xuantie 910は、2.5GHzの動作周波数で7.1Coremark/MHzと、既存のRISC-Vプロセッサに比べて演算能力が40%高くなったとする。
同社によれば、この演算性能は2つの要素によって実現されたという。まずは、12段のアウトオブオーダー実行パイプラインのコアの採用だ。これにより、1サイクル当たり、ロード/ストア命令を含めて最大8個の命令をロードできるようになった。2つ目は、さまざまな演算やメモリアクセス、マルチコア機能を強化するため、50の拡張命令を追加したことだ。Xuantie 910では、1チップ当たり最大16コアで構成できるという。
Pingtougeは、チップのプラットフォームをSoC(System on Chip)開発メーカーに提供するだけでなく、2019年9月に、コードをGitHub上にオープンソースとして公開する予定だ。
Alibaba GroupのバイスプレジデントであるXiao Ning氏は、「従来のチップのプラットフォームでは、断片化するAIoT(Artificial intelligence Internet of Things)のニーズに対応することが難しくなってきている。そうした課題を解決する鍵となるのがオープンソースであり、Pingtougeは、来たるAIoT時代のチッププラットフォームのサプライヤーとして貢献できるだろう」と述べた。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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