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表面欠陥密度を半減させたSiCエピウエハーを開発:昭和電工
昭和電工は2019年8月、パワー半導体用SiC(炭化ケイ素)エピタキシャルウエハーとして、既に量産中の6インチサイズの低欠陥グレード品をさらに高品質化した第2世代製品を開発したと発表した。
昭和電工は2019年8月、パワー半導体用SiC(炭化ケイ素)エピタキシャルウエハーとして、既に量産中の6インチサイズの低欠陥グレード「ハイグレードエピ」(以下、HGE)をさらに高品質化した第2世代製品(以下、HGE-2G)を開発したと発表した。
開発したHGE-2Gは、エピタキシャル成長プロセスの高度化などにより、デバイス初期歩留りに影響する表面欠陥密度を従来のHGEの2分の1以下に抑えた。同時に、デバイスの信頼性(通電劣化)に影響する基底面転位の基板からの伝播における変換効率を従来の10倍以上にまで高めたとする。
昭和電工は開発したHGE-2Gを、100A級の大電流を扱う電気自動車や鉄道車両向けのモーター駆動インバーターモジューに搭載するチップサイズが10mm角程度に及ぶ大型のSiC-MOSFETチップなどに向ける方針。
同社は、「SiCエピタキシャルウェハーの世界需要は、2025年に1500億円規模に拡大すると予想されている。当社は、世界最大の外販メーカーとして、急拡大する市場に対し、高信頼性品の開発や積極的な増産投資を通じ、SiCデバイスの普及に貢献するとともに、(収益性と安定性を高レベルで維持できる)個性派事業への成長を図る」としている。
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