ザイリンクス、アクセラレーターカードを追加:ロープロファイルでPCIe Gen4対応
ザイリンクスは、Alveoデータセンターアクセラレーターカードの新製品として、ロープロファイルでPCIe Gen4に対応した「Alveo U50」を発表した。
演算性能を犠牲にせず、小型化を実現
ザイリンクスは2019年8月7日、Alveoデータセンターアクセラレーターカードの新製品として、ロープロファイルでPCIe Gen4に対応した「Alveo U50」を発表した。
ザイリンクスは、クラウドデータセンターやオンプレミスデータセンターに設置された標準サーバの演算性能を向上させるためのアクセラレーターカード「Alveo」を2018年10月に発表した。高速かつ低遅延で、さまざまなアーキテクチャに適応でき、あらゆる環境のサーバに対応できるよう設計されている。
これまで、厚みがフルハイトのハイパワー製品「Alveo U200」「Alveo U250」「Alveo U280」の3モデルを投入してきた。いずれも「UltraScale+アーキテクチャ」のFPGAを搭載している。ワークロードや新たな規格、さまざまなアルゴリズムに適したハードウェアに再構築することが可能だ。
新たに用意したAlveo U50は、UltraScale+アーキテクチャのFPGAを搭載したロープロファイルアクセラレーターで、PCIe Gen4をサポートしている。U50には8Gバイトの広帯域幅メモリ(HBM2)を集積しており、460Gビット/秒のデータ転送を実現した。HBM2の採用などにより、演算性能を犠牲にすることなく、形状はハイパワー製品に比べて8分の1に小型化することができたという。
また、QSFPポートにより、最大100Gビット/秒のネットワーク接続が可能である。さらに、PCIe Gen4/Gen3とCCIXインターコネクトをサポートしている。高速ネットワークI/Oは、「NVMe-oF」にも対応している。消費電力は75W以下である。
ザイリンクスは、Alveoエコシステムの拡充にも力を入れる。ハードウェアの「Alveo」をベースに、開発者向けIPやライブラリ、さらにはデータ解析や機械学習推論といったアプリケーションに至るまで、Alveoソリューションスタックをプラットフォーム化して提供する体制を整えた。
記者説明会では、音声翻訳やデータベース分析、金融市場モデリング、電子取引オペレーション、コンピュテーショナルストレージなどにおける導入事例とその効果を紹介した。例えば、音声翻訳ではエッジ側で推論処理が可能となり、GPUのみの場合と比べ最大25倍の低レイテンシで、10倍のスループットを実現する。金融市場モデリング用途では、モンテカルロシミュレーションを実行した場合、GPUのみに比べて、電力効率は7倍以上だという。
この他、電子取引オペレーションでは、市場データを入力してオーダーを出力するまでの時間短縮が求められるが、Alveo U50では500ナノ秒未満のレイテンシが高く評価されている。コンピュテーショナルストレージでは、CPUに比べて20倍以上も高速にデータ圧縮処理が行えるという。
Alveo U50は既にサンプル出荷を始めた。一般出荷は2019年秋を予定する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Xilinx、データセンター事業でエコシステム拡大に注力
ザイリンクスは2019年3月19日、同社のデータセンター事業戦略について講演やセッションを行うイベント「Xilinx Data Center Acceleration Seminar」を開催した。 - AIはFPGAのスイートスポット、Xilinxがエッジ推論をデモ
Xilinxは、組み込み技術の国際展示会「embedded world 2019」(2019年2月26〜28日、ドイツ・ニュルンベルク)で、自動車や監視カメラなどでの推論、いわゆるエッジデバイスでの推論をイメージしたデモを展示した。 - 産業/医療IoTに注力、Xilinxの「3つの戦略」
Xilinxの日本法人であるザイリンクスは6月27日、東京都内で事業戦略説明会を実施した。Xilinxの産業/ビジョン/医療機器マーケット担当ダイレクター、Chetan Khona氏は、「産業、医療機器分野を、Xilinxで第3位の事業規模にしていく」と話し、インダストリアルIoT(モノのインターネット)やヘルスケアIoTにおける同社の事業戦略を説明した。 - FPGA時代から脈々と受け継がれる“XilinxのDNA”とは
米国でユーザーカンファレンス「XDF(Xilinx Developer Forum) 2018」を開催したXilinx。EE Times Japanは、日本の他のメディアとともに社長兼CEO(最高経営責任者)であるVictor Peng氏にインタビューを行い、Xilinxの方向性や、同社の新しい製品カテゴリーである「ACAP(Adaptive Compute Acceleration Platform)」の定義などを尋ねた。 - 必要なのは“適応力”、Xilinxが7nmプラットフォーム「Versal」を発表
Xilinxは2018年10月2日(米国時間)、米国カリフォルニア州サンノゼで開催中のユーザーカンファレンス「XDF(Xilinx Developer Forum) 2018」で、同社の新たな製品群「ACAP(エーキャップ):Adaptive Compute Acceleration Platform」(開発コード名Everest(エベレスト))として「Versal」を発表した。【訂正あり】 - Xilinx、7nm新デバイス「Versal」を出荷
Xilinxは2019年6月18日(米国時間)、既存のCPUやGPU、FPGAとは異なる新たなデバイスとして開発するACAPとして初の製品となる「Versa AIシリーズ」「Versal プライムシリーズ」の出荷を開始したと発表した。