HDD大手Western Digitalの四半期業績は4期連続の減収減益:福田昭のストレージ通信(158)(2/2 ページ)
今回はWestern Digitalの四半期決算(2019年会計年度第4四半期)を紹介する。売上高は4四半期連続の減収となったものの、底を打つ兆しが見えてきた。
データセンター向け製品の売り上げが2四半期連続で増加
部門別の売上高を見ていこう。WDは売り上げを3つの部門に分けて公表している。その3つとは、「データセンター用デバイス・ソリューション(Data Center Devices and Solutions)」部門、「クライアント用デバイス(Client Devices)」部門、「クライアント用ソリューション(Client Solutions)」部門である。
データセンター用デバイス・ソリューション部門には、エンタープライズ用HDD、エンタープライズ用SSD、データセンター用ソフトウェア、データセンター用ソリューションなどが含まれる。売上高は前年同期比21%減、前四半期比2.2%増の12億7300万米ドルである。前四半期比では2期連続で増加しており、売り上げが回復しつつあることがうかがえる。
クライアント用デバイス部門には、ノートPC用HDD、デスクトップPC用HDD、コンシューマーエレクトロニクス用HDD、クライアント用SSD、組み込み用製品などが含まれる。売上高は前年同期比35%減、前四半期比1.2%減の16億600万米ドルである。
クライアント用ソリューション部門には、映像業務用HDD、映像業務用SSD、バックアップ用HDD、USBメモリ、SDカードなどが含まれる。売上高は前年同期比27%減、前四半期比6.1%減の7億5500万米ドルである。
HDD製品の売上高は回復基調へ
WDはHDD製品とフラッシュ応用品の売上高や粗利益率(Non-GAAPベース)などの数値を公表している。2019会計年度第4四半期(2019年4月〜6月期)におけるHDD製品の売上高は前年同期比23%減、前四半期比3.1%増の21億2800万米ドルである。前の四半期に売上高は底を打ち、回復してきた。
粗利益率は28%で、前の四半期に比べて1ポイント減少した。HDD製品の総販売記憶容量は、前の四半期に比べて14%増加している。販売台数はPC向けが1230万台、リテールおよびコンシューマー向けが920万台、データセンター向けが620万台である。前の四半期に比べるとデータセンター向けは60万台増加したものの、PC向けは60万台減少し、リテールおよびコンシューマー向けは10万台減少した。平均販売価格は前の四半期から2米ドル増加して75米ドルとなった。
2019会計年度第4四半期(2019年4月〜6月期)におけるフラッシュ応用品の売上高は前年同期比36%減、前四半期比6.5%減の15億600万米ドルである。粗利益率は19%で、前の四半期に比べて2ポイント下がった。フラッシュ応用品の総販売記憶容量は、前の四半期に比べて1%縮小した。記憶容量当たりの平均販売価格は前の四半期に比べて6%低下した。
(次回に続く)
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