容量8MビットのReRAMを製品化:富士通セミコンダクター
富士通セミコンダクターは2019年7月30日、抵抗変化型メモリ(以下、ReRAM)として8Mビット容量品を2019年9月から販売すると発表した。同社では「ReRAMの量産製品としては世界最大容量」としている。
富士通セミコンダクターは2019年7月30日、抵抗変化型メモリ(以下、ReRAM)として8Mビット容量品を2019年9月から販売すると発表した。パナソニック セミコンダクターソリューションズと共同で開発したメモリ製品で、富士通セミコンダクターでは「ReRAMの量産製品としては世界最大容量」としている。
9月から販売するReRAM「MB85AS8MT」は、1.6〜3.6Vの電源電圧で動作し、EEPROM互換のコマンドおよびタイミングで動作するSPIインタフェースを備える。パッケージは、EEPROMとピン互換の8ピンSOPと、ウェアラブル端末に搭載可能な2×3mmサイズの11ピンWL-CSPの2種類がある。
製品名 | MB85AS8MT |
---|---|
メモリ容量(構成) | 8Mビット(1Mワード×8ビット) |
インタフェース | SPI(Serial Peripheral Interface) |
動作電源電圧 | 1.6〜3.6V |
動作周波数 | 最大10MHz |
読み出し動作電流 | 0.15mA(平均値、5MHz動作時) |
ライトサイクル時間 | 10ミリ秒 |
ページサイズ | 256バイト |
書き込み保証回数 | 100万回 |
読み出し保証回数 | 無限回 |
データ保持特性 | 10年(+85℃) |
パッケージ | 11ピンWL-CSP、8ピンSOP |
富士通セミコンダクターの資料を元に作成 |
5MHz動作時の平均読み出し電流は0.15mAで「EEPROMの読み出し電流(=3.0mA)に比べてわずか5%」(富士通セミコンダクター)とする。同社では、電池駆動のウェアラブル端末である補聴器、スマートウォッチ、スマートバンドなどでの採用を見込んでいる。
富士通セミコンダクターは、これまでEEPROMやシリアルフラッシュメモリに比べ、高書換え耐性や高速書き込みを備える強誘電体メモリ(FRAM)製品とともに、書き換えは頻繁ではないが何度もデータの読み出しをするアプリケーションに向けて読み出し時の電流が少ないReRAMを2016年10月から提供。これまで提供してきたReRAMの容量は4Mビットだった。
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