HDD大手Seagateの四半期業績、売上高が3四半期ぶりの増収に:福田昭のストレージ通信(159)(2/2 ページ)
今回はSeagateの四半期決算(2019年会計年度第4四半期)を紹介する。売上高が前の四半期を上回るのは3四半期ぶりで、利益も回復しつつあることが見て取れる。
SeagateがHDDのトップベンダーを前四半期に続いて維持
Seagateの製品別売り上げは、「HDD製品」と「その他(エンタープライズ・ソリューションやSSD製品など)の製品」に分けられる。売り上げのほとんどを占めるのは、HDD製品である。
2019会計年度第4四半期(2019年4月〜6月期)に「HDD製品」の売り上げは前年同期比17%減、前四半期比3.8%増の22億400万米ドルとなった。前四半期比でHDD製品の売り上げが増加したのは、3四半期ぶりである。
なおWestern Digitalの2019年4月〜6月期におけるHDD製品の売り上げは21億2800万米ドルだったので、前の四半期に続いて今期もSeagateがHDDのトップベンダー(金額ベース)を維持した。
2019会計年度第4四半期(2019年4月〜6月期)に「その他(エンタープライズ・ソリューションやSSD製品など)の製品」の売り上げは前年同期比8.7%減、前四半期比12%減の1億6700万米ドルとなった。2四半期連続で前の四半期に比べて減少した。
HDDの総出荷記憶容量も3四半期ぶりに増加
Seagateは、HDDの総出荷記憶容量と1台当たりの記憶容量を応用分野別に公表している。応用分野は、「エンタープライズ分野のミッションクリチカル向けとニアライン向け」「エッジ(クライアント)の非コンピュータ分野におけるコンシューマーエレクトロニクス向け(ビデオレコーダーや監視カメラ、ゲーム機など)とコンシューマー向け(市販の外付けドライブなど)」「エッジ(クライアント)のコンピュータ分野向け(デスクトップPCとノートPC)」である。
詳細をエンタープライズ分野から見ていこう。エンタープライズ分野のほとんどを占めるニアライン向けHDDの総出荷記憶容量は、34.8エクサバイト(EB)である。4四半期ぶりに前の四半期に比べて増加した。残りであるミッションクリチカル向けの総出荷記憶容量は2.9EBである。前の四半期と同じ出荷容量となった。エンタープライズ分野のHDD1台当たりの平均記憶容量は5.5テラバイト(TB)である。前の四半期に比べて0.6TB増加し、過去からの最大容量を更新した。
続いて、エッジ(クライアント)の非コンピュータ分野である。コンシューマーエレクトロニクス向け(ビデオレコーダーや監視カメラ、ゲーム機など)HDDの総出荷記憶容量は22.7EBとなった。3四半期ぶりに前の四半期に比べて増加した。コンシューマー向け(市販の外付けドライブなど)HDDの総出荷記憶容量は10.4EBである。2四半期連続で前の四半期に比べて減少した。同分野におけるHDD1台当たりの平均記憶容量は2.5TBである。前の四半期に比べて0.1TB増加した。
エッジ(クライアント)のコンピュータ分野向け(デスクトップPCとノートPC)HDDの総出荷記憶容量は13.7EBである。3四半期連続で前の四半期に比べて減少した。同分野におけるHDD1台当たりの平均記憶容量は1.2TBである。5四半期連続で同じ容量となった。
HDD全体の総出荷記憶容量は84.5EBである。3四半期ぶりに前の四半期に比べて増加した。HDD1台当たりの平均記憶容量は2.7TBである。前の四半期に比べて0.3TB増え、過去最高の容量となった。
(次回へ続く)
⇒「福田昭のストレージ通信」連載バックナンバー一覧
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- HDD大手Western Digitalの四半期業績は4期連続の減収減益
今回はWestern Digitalの四半期決算(2019年会計年度第4四半期)を紹介する。売上高は4四半期連続の減収となったものの、底を打つ兆しが見えてきた。 - 次世代メモリの長所と短所を一覧する
本シリーズの最終回となる今回は、次世代メモリの長所と短所をまとめる。既存のメモリ技術ではDRAM、NANDフラッシュが主流であり、少なくとも今後5年間はその地位が揺らぐことはないだろう。 - ハードディスク業界の国内最大イベント、今年は7月末に開催(後編)
2019年7月25〜26日に開催される「国際ディスクフォーラム」のプログラムを紹介する。後編では、2日目(7月26日)のプログラム内容を取り上げたい。 - 好調が続くHDD、データセンター向けで新しい動きも
NAND型フラッシュメモリの低価格化や、NVMe(Non-Volatile Memory Express)などSSD関連の技術革新にもかかわらず、HDD市場は依然として好調だ。 - ハードディスク業界の国内最大イベント、2019年は7月末に開催(前編)
2019年7月25〜26日に東京都内で開催される「国際ディスクフォーラム」の開催プログラムが決定した。前後編に分けて、プログラムの内容を紹介していく。 - 抵抗変化メモリ(ReRAM)の製品化動向と製造コスト見通し
抵抗変化メモリ(ReRAM)の製品化動向と製造コスト見通しを紹介する。特に、ReRAMの製品化で大きな役割を果たしているベンチャー企業各社を取り上げたい。