NEDOら、小型の16波長多重光回路チップを開発:10Tbpsの大容量光接続を可能に
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と光電子融合基盤技術研究所(PETRA)は共同で、小型の16波長多重光回路チップを開発した。1波長当たり32Gビット/秒という高密度信号伝送での動作を確認した。
光電子集積インターポーザーに内蔵可能
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2019年9月、光電子融合基盤技術研究所(PETRA)と共同で、小型の16波長多重光回路チップを開発したと発表した。1波長当たり32Gビット/秒という高密度信号伝送での動作を確認した。
データセンターや高性能PC内の情報伝達量は膨大となり、サーバ間の接続には光配線が採用されるようになった。2025年には1ノード当たり10Tビット/秒以上の伝送帯域が必要になるとの予測もある。これを解決する方法の1つとして、波長多重技術が注目されている。
NEDOとPETRAは、シリコンフォトニクス技術を用いて、16波の波長多重光回路を実現する開発プロジェクトを2013年度より立ち上げた。今回はその成果である。
開発した16波の波長多重光回路は、2波長の遅延マッハツェンダー干渉(DMZI)型フィルターと、8波長のアレイ導波路回折格子(AWG)型フィルターを直列に接続した構造である。これにより、挿入損や波長クロストークの劣化を抑えた。
チップ製造には微細な加工プロセスも採用した。AWG型フィルターを多波長化する場合に、これまでは素子サイズの大きさが課題となっていたが、微細化によって解決。数ミリ角のサイズに縮小するなど、光回路チップの小型化を実現した。光電子集積インターポーザーに内蔵することができる。
また、波長多重化された光信号を2つの偏波成分に分離した後に16個の波長成分に分離し、波長ごとに偏波成分を出力する光回路を開発。これにより、偏波無依存合分波動作を実現した。
試作した16波長多重光回路チップを用いて動作を検証した。任意偏波の32Gビット/秒の光信号を伝送したところ、16波の全てにおいて光信号の劣化がなく、合分波が可能であることを確認した。
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