エレ実装関連の世界市場、2025年に10兆円市場へ:富士キメラ総研が調査
エレクトロニクス実装関連の世界市場は2025年に10兆1451億円へ――。富士キメラ総研が半導体パッケージ関連材料やプリント配線板および、関連材料などの市場予測をまとめた。
5GやAI対応サーバ、自動運転車などに期待
富士キメラ総研は2019年10月、半導体パッケージ関連材料やプリント配線板および、関連材料などエレクトロニクス実装関連の世界市場を調査し、2025年までの予測結果を発表した。
今回の調査は、半導体パッケージ関連材料8品目、プリント配線板6品目、プリント配線板関連材料12品目、熱/ノイズ対策材料5品目および、実装関連装置7品目の実装関連市場と、主要半導体デバイス/半導体パッケージ市場を対象とした。
これによると、スマートフォン市場の落ち込みや低調な自動車市場の影響などから、2018年第4四半期より半導体パッケージ関連材料とプリント配線板の需要が落ち込んでいるという。実装関連市場は2019年第2四半期より回復に向かうが、半導体パッケージ関連材料や実装関連装置の減少幅が大きいため、2019年通期では8兆6532億円となり、前年実績を下回ると予想した。
2020年以降は低誘電・低損失や微細化、高放熱/高耐熱に対応する製品の需要増を見込む。この結果、今後は年率2〜3%の成長が見込まれ、2025年には10兆1451億円の市場規模と予測した。市場拡大をけん引する応用分野として、5G対応のスマートフォンや通信機器および基地局、ビッグデータ処理やAI対応に向けたサーバ機器、環境対応車などを挙げた。
富士キメラ総研は、今後需要拡大が期待される製品として、「高多層リジッドプリント配線板」と「LCP(液晶ポリマー)フィルムや低誘電PIフィルム」を挙げた。18層以上の高多層リジッドプリント配線板は、ハイエンドサーバやスパコン、5G向け基地局装置などの用途が需要をけん引する見通しだ。市場規模は2019年見込みの1748億円に対し、2025年は2622億円と予測した。
LCPフィルムは耐熱性や寸法安定性、低吸水性、高周波特性に優れている。これらの特長を生かし、フレキシブル銅張積層板や補強板に用いられている。低誘電PIフィルムの実用化は近年だが、2019年にAppleが「iPhone」に採用したこともあり、5G対応スマートフォンなどに向け、市場は急速に立ち上がるとみている。この結果、LCPフィルムと低誘電PIフィルムの市場規模は、2019年見込みの93億円に対し、2025年は142億円と予測した。
FO−WLP/PLPと2.5D/2.1Dパッケージに注目
半導体パッケージの中で同社が注目しているのが、「FO−WLP/PLP」と「2.5D/2.1Dパッケージ」である。ファンアウト(FO)タイプのWLP(ウエハーレベルパッケージ)は12インチウエハー枚数、PLP(パネルレベルパッケージ)はパネル枚数にそれぞれ換算し、市場規模を予測した。この結果、FO‐WLP/PLPは2019年見込みの114万枚に対し、2025年には257万枚となる。
一方、2.5D/2.1Dパッケージ市場は、AI対応のサーバ向けを中心に、高性能ゲーミングPC向けIC、自動運転車向けSoC、5G対応基地局向けCPUやFPGAなどで需要が拡大する見通しだ。この結果、2019年見込みの151万個に対し、2025年には1200万個規模に膨らむと予測した。
今回の調査は、2019年4〜6月に実施。同社専門調査員によるヒアリングやデータベースを活用した調査などから、今後の動向を分析した。
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